パラリンピック競泳 山口尚秀が世界新で金メダル 100m平泳ぎ

東京パラリンピックの競泳男子100メートル平泳ぎ、知的障害のクラスで、20歳の山口尚秀選手が自身が持つ世界記録を更新する1分3秒77のタイムで金メダルを獲得しました。

自身の世界記録0秒23更新

知的障害をともなう自閉症がある山口選手は、専門とするこの種目の世界記録保持者です。

午前中の予選を全体トップのタイムで通過して臨んだ決勝では、スタートから飛び出して先頭争いをすると50メートルをトップで折り返しました。
山口選手は身長1メートル87センチ、足の大きさ30センチという大きな体を使ったダイナミックな泳ぎで後半リードを広げると、そのままトップでフィニッシュし、タイムは1分3秒77で自身が持つ世界記録を0秒23更新して金メダルを獲得しました。

山口選手は初めてのパラリンピックで、目標としていた世界記録の更新と金メダル獲得を成し遂げました。

山口選手は「私のほかにも1分4秒台のタイムを出している選手がいて正直、かなり接戦でしたが金メダルを獲得するということと、世界記録を更新するという2つの目標を達成することができてとてもうれしく思います」と喜びをかみしめていました。
銀メダルはオーストラリアのジェイク・ミシェル選手で、銅メダルはイギリスのスコット・クイン選手でした。

底知れぬ潜在能力 20歳の大型スイマー

男子100メートルで平泳ぎで世界記録を更新して金メダルを獲得した山口選手はパラリンピック初出場の20歳。

愛媛県今治市出身で保育園に通っているころ、知的障害をともなう自閉症と診断され、幼い頃から祖父母に連れられてプールに通いました。小学4年生の時から水泳を始め、4年前から本格的に競泳に取り組み始めました。

1メートル87センチの長身と30センチの大きな足、そして、肩甲骨周りの柔軟性を生かしたダイナミックな泳ぎが最大の特長です。2019年の世界選手権では男子100メートル平泳ぎで当時の世界記録を更新して優勝し、東京大会の代表に内定。一躍、金メダル候補となりました。

その後、新型コロナウイルスの影響で、合宿や大会が中止になる中でも地元、今治市で一般の人たちも使うプールで練習に励んできました。去年からは食事の内容も見直して体をひと回り大きくして、さらなるレベルアップを図ってきました。

そして、ことし5月のジャパンパラ大会ではみずからが持つこの種目の世界記録を再び更新し、コロナ禍でも着実に成長を続けてきました。

迎えた初めてのパラリンピックでも、100メートルバタフライでメダルにあと1歩と迫る4位入賞を果たすなど、底知れない潜在能力を見せていました。

そして迎えた本命の100メートル平泳ぎでは、予選からパラリンピック新記録のタイムをマークし、「大きなストロークで焦りすぎず取り組めた」と話していた山口選手。決勝でも持ち前の大きな泳ぎでメダルを獲得しました。

底知れない潜在能力を持つ20歳の大型スイマーがどこまで記録を伸ばすのか、これからも目が離せません。