アフガニスタン爆発 死者85人に タリバン戦闘員28人含む

ロイター通信は、アフガニスタンの首都カブールの保健当局者とタリバンの関係者の話として、カブール国際空港付近で26日起きた大規模な爆発で、これまでに72人のアフガニスタン人が死亡したと伝えました。この中には、タリバンの戦闘員28人が含まれるとしています。

また、アメリカ国防総省は13人のアメリカ兵が死亡したと明らかにしていて、ロイター通信は、死者の数は合わせて85人になったと伝えています。

爆発のあった現場は

アメリカ中央軍のマッケンジー司令官によりますと、大規模な爆発があった空港の入り口近くでは国外退避のために使われる航空機に爆弾などを持ち込ませないため、アメリカ軍の兵士が空港内に入る人たちの保安検査を行っていたということです。

また別の爆発が起きた現場近くのホテルについて、アメリカのメディアは、アフガニスタン人が国外退避の手続きを行う拠点になっていたほかアメリカ人の一時的な待機場所にもなっていたとして「今回の攻撃は多数のアメリカ人をねらった可能性がある」と伝えています。

米兵の一日の死者数 10年前のヘリ撃墜以降で最悪に

アメリカ国防総省によりますと、アフガニスタンでのアメリカ兵の死者数は、軍事作戦を開始した2001年10月以降、これまでに2400人以上にのぼります。

ただ、去年2月にアメリカ政府と武装勢力タリバンが和平合意を結んでからは、アフガニスタンでアメリカ兵の死者は出ていませんでした。

AP通信は、アフガニスタンで一日にアメリカ兵13人が死亡したことについて、10年前の2011年8月に国際部隊のヘリコプターが撃墜され、アメリカ兵30人が犠牲になって以降、最悪だと伝えています。

専門家「タリバンとアメリカ 双方にダメージ与えるねらい」

アフガニスタンのテロ組織の動向に詳しい上智大学の東大作教授は、今回の爆発に関与したとされる過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織について「イラクやシリアに拠点があるイスラミックステートの分派で、2014年ごろからアフガニスタンで活動を始めたと言われている。組織を世界全体に広げ、アメリカの覇権に挑戦するという考えをもち、イラクやシリアで規模が縮小するなか、アフガニスタンで勢力を拡大しようと活動を続けている」と述べました。

そのうえで「タリバンとは関係が悪く、非常に強い敵対心を持っている。これまでもカブールで、市民をねらったテロを起こすなど激しい攻撃を続けてきた。組織としては、これからタリバン主導の新しい国づくりが始まることを阻止し、タリバンとアメリカの双方にダメージを与えるねらいがあったと考えられる」と分析しました。

また「テロの可能性は以前から懸念され、アメリカも繰り返し警告を出していたが、それが現実となってしまった。タリバンにとっては、こういったテロが起きると、統治能力に対する疑問を持たれてしまう。今後、新政権の発足後には、イスラミックステートの地域組織が引き起こす、市民をねらった攻撃を、いかに抑え込むかが課題になる」と指摘しました。

タリバンとテロ組織の関係

今回の大規模な爆発に関与したとされるのは、過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織です。

組織は、2015年に東部ナンガルハル州を拠点として設立され、構成員は最大で3000人ほどとされています。

アメリカをはじめとする外国への攻撃の拠点とするためアフガニスタンでの勢力の拡大を目指しているとされ、アメリカと和平交渉を行ったタリバンとは対立関係にあります。

一方でタリバンが密接な関係にあるとされているのが、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を首謀したオサマ・ビンラディン容疑者が率いていた国際テロ組織アルカイダです。

国連の担当者は、タリバンがアルカイダと合同で軍事訓練を行ったり、武器を融通しあったりするなどいまも関係を維持していると指摘しています。

アフガニスタンのテロ組織の動向に詳しい上智大学の東大作教授は「ISの地域組織は、タリバンに対して非常に強い敵対心を持っている。今後もカブールなどの大都市で散発的なテロを起こす可能性は十分にある。今後タリバンが新しい政権を作っていくうえで、ISの地域組織による攻撃をいかに抑え込めるか、そして、アルカイダとの関係を清算できるかが大きな課題になる」と指摘しています。

アフガニスタン市民 タリバンが警戒強めるとの受け止め広がる

アフガニスタンの首都カブールの空港で起きた大規模な爆発を受けて、市民の間では動揺が広がっているほか、武装勢力タリバンが検問所やその周辺で空港への立ち入りを制限し警戒を強めているとの受け止めが広がっています。

このうちカブール市内の男性は「アフガニスタン人にとって本当に心が痛む出来事だ。このような状況が続くのであれば、多くの人たちが隣国へ逃れることになるだろう」と話していました。

また、別の男性は「許されない行為だ。できるだけ早く新しい政権が樹立され、普通の生活がおくれるようになりたい」と話していました。

さらにイギリスへの退避を検討しているアフガニスタン人の男性は「タリバンの戦闘員は爆発後、空港近くにいた人たちを排除した。タリバンはいまは空港からおよそ1キロ離れた空港に通じる道路で検問所を設けていて人も車も通ることができない」と述べ、タリバンが検問所やその周辺で空港への立ち入りを制限し警戒を強めていると指摘しました。