「布川事件」で無罪 2審も国と県に賠償命じる 東京高裁

54年前に茨城県で起きたいわゆる「布川事件」の再審=やり直しの裁判で、無罪が確定した男性が国と県に賠償を求めた裁判の2審で、東京高等裁判所は、警察と検察の取り調べの違法性を認め、合わせておよそ7400万円の賠償を命じました。

昭和42年に茨城県利根町布川で男性が殺害されたいわゆる「布川事件」で、無期懲役の判決を受け、平成23年に再審=やり直しの裁判で無罪が確定した桜井昌司さん(74)は、取り調べで自白の強要や誘導など違法な捜査を受けたとして、国と茨城県に賠償を求めました。

1審の東京地方裁判所はおととし「警察官は『桜井さんを現場近くで見たという目撃者がいる』と、うそをついていて、取り調べは違法だ」などとして、国と県に対して7600万円余りの賠償を命じ双方が控訴していました。

東京高等裁判所の村上正敏裁判長は1審に続いて警察官の取り調べの違法性を認めたうえで、検察官の取り調べについても「桜井さんはアリバイを説明し、無実を訴えたが、実際には確認していない場所を見てきたようにうそをつき、自白を強要したもので違法だ」などと指摘し、国と県に対しておよそ7400万円余りの賠償を命じました。

判決に集まった支援者から拍手や歓声

判決の後、弁護士らは裁判所の前で「東京高裁勝訴」「捜査の違法を認める」と書かれた紙を掲げ、集まった支援者からは拍手や歓声が上がりました。

原告の桜井昌司さん(74)は「私が取り調べの中で警察や検察に言われた内容をすべて裁判所に認めてもらい胸がいっぱいになりました」と話していました。

原告 桜井さん「当たり前のことが認められるまで54年」

判決のあと、会見で原告の桜井昌司さん(74)は「当たり前のことが認められるまで54年かかったと思いながら判決を聞きました。平然と誤りを犯しながら謝罪をしない国に対して怒りが湧いてきます。えん罪のない国にしていくために、これからも力を貸してほしい」と話していました。

また、弁護団の矢萩陽一団長は「検察や警察の違法な取り調べでうその自白をさせられたことが認められ、『完全勝利』と言っていい。自分たちが間違ったことを素直に認めて謝罪してほしい」と話していました。

法務省刑事局「判決内容を検討し適切に対処」

判決について法務省刑事局は「今後の対応については判決内容を検討し適切に対処してまいります」とコメントしています。

また、茨城県警察本部の小泉辰也監察室長は「判決内容を精査したうえで、今後の対応については、国や関係部局と協議してまいります。なお、再審無罪となった事実は厳粛に受け止めており、今後とも適正捜査に努めてまいります」とコメントしています。