東京都 コロナ感染状況 7日間平均減少も極めて高い値続く

26日のモニタリング会議で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

感染状況

新たな感染の確認は、25日時点で7日間平均が4388.4人となりました。

6月下旬以降、先週まで9週連続で増加していましたが、前回・今月18日時点の4630.6人よりおよそ242人減少しました。

専門家は、「7日間平均は、今月19日におよそ4702人と過去最多を更新して極めて高い値が継続している。第3波のピーク時の2.4倍に相当する、1日当たり4300人を超える新規陽性者が継続して発生している」と指摘しました。

また、新規陽性者の増加比は2か月以上にわたり連続して100%を超えていましたが、今回は前の週のおよそ95%でした。
今月23日までの1週間に感染が確認された人の年代別の割合は、
▽20代が30.7%と最も多く、先月以降、8週連続で30%を超えました。
次いで、
▽30代が20.2%、
▽40代が16.1%、
▽50代が10.8%、
▽10代が10.1%、
▽10歳未満が5.7%、
▽60代が3.2%、
▽70代が1.8%、
▽80代が1.1%、
▽90代以上が0.3%でした。

6月中旬以降、50代以下の割合が全体の90%以上を占めています。

今週は
▽10歳未満が0.7ポイント
▽10代が0.8ポイント増え、3週連続の上昇となりました。

専門家は「学校が再開し学校生活での感染防止対策の徹底が求められる。社会全体で『子どもを守る』という意識の啓発が必要である」と指摘しています。

一方、65歳以上の高齢者の感染者数は今週は1377人で、1078人だった前の週の1.3倍に増え、6週連続で増加しました。

割合も前の週から0.6ポイント上昇しました。

専門家は「高齢者層は重症化リスクが高く、入院期間が長期化することもある。早期発見と早期受診により重症化を防ぐことが重要だ」としています。

感染経路がわかっている人では
▽同居する人からの感染が66.3%と最も多く、次いで
▽職場が12.2%、
▽保育園や学校、それに高齢者施設や病院といった施設での感染が5.6%、
▽会食は2.7%でした。

特に、施設での感染は10代や10歳未満が高い水準で推移していて、専門家は「夏休みのない保育園や学童クラブなどでの感染防止対策の徹底が必要だ」としています。

また、先週に続いて今週も幼稚園や保育園、部活動、大学の学生寮などでの感染事例が多数報告されています。

専門家は「旅行は控えるとともに、部活動や学校行事を含む学校生活や学習塾などで基本的な感染防止対策を改めて徹底する必要がある。とくに夏休み明けの通学による接触機会の増加をきっかけとした家庭などへの感染拡大が危惧される」と呼びかけました。

さらに、職場での感染の割合も多いとして、「職場での感染を減らすには事業主に対して従業員が体調不良の場合に受診や休暇取得を積極的に勧めることが最も重要だ。夏休みの取得の徹底、テレワーク、時差通勤、オンライン会議の推進など3密を回避する環境整備に積極的な取り組みが求められる」と指摘しました。

「感染の広がりを反映する指標」とされる、感染経路がわからない人の7日間平均は25日時点で2614.7人で、前の週からおよそ262人減りました。

2か月以上、連続して増加していましたが、今回は減少しました。

増加比も25日時点で90.9%と前の週から24.9ポイント低下し、ことし6月以来、100%を下回りました。

ただ、専門家は、「感染経路がわからない人の数は極めて高い水準で推移している。職場や施設の外における第三者からの感染による感染経路が追えない潜在的な感染拡大が生じている。また、増加比が100%を下回ったが、引き続き、厳重な警戒が必要である。さらなる拡大を防ぐためには人流を徹底的に減少させる必要がある」と強く呼びかけました。

感染経路がわからない人の割合はおよそ60%で前の週から2ポイント下がりましたが、高い水準で推移しています。

感染経路がわからない人の割合は20代から40代で60%を超え、特に、行動が活発な20代と30代ではおよそ70%となっています。

医療提供体制

検査の陽性率の7日間平均は25日時点で20.7%となり、前の週の今月18日時点の24%から3.3ポイント下がりました。

専門家は、「依然として高い水準で推移している。検査を迅速に受けられないことで多数の感染者が潜在している可能性がある。検査体制の強化が必要だ」と指摘しました。

そのうえで「会食の同席者が陽性になるなど自分が濃厚接触者である可能性がある場合は、保健所からの指示がなくても医療機関に相談し検査を速やかに受けるよう都民に理解してもらう必要がある」と述べました。

入院患者は、25日時点で4154人で、今月18日の時点より339人増加し、過去最多を更新しました。

専門家は、「入院重点医療機関の多くが通常の救急患者の受け入れを行う病院であり、緊急を要するけがや病気の患者の救急搬送や受け入れにも大きな支障が生じている」と指摘しました。

そのうえで「現在の感染状況が続けば医療提供体制の限界を超え救える命が救えない事態がさらに悪化する。危機感を現実のものとしてみんなで共有し社会全体で協力して立ち向かう必要がある」と強く呼びかけました。

保健所が都の入院調整本部に入院先を探すよう求めた依頼件数の7日間平均は、25日時点で595件で、今月18日時点より106件減りました。

ただ、専門家は、「非常に高い水準で推移している。調整が難航し、翌日以降への繰り越しや、自宅での待機を余儀なくされる事例が多数生じ、きのうは250人が翌日に繰り越しになった」と指摘しました。

25日時点の入院患者4154人を年代別にみると、60代以下が全体のおよそ83%と高い水準が続いていて、年代別では
▽50代が最も多く全体のおよそ24%、
▽次いで40代がおよそ21%となっています。

▽30代以下でもおよそ27%を占めていて、専門家は「若年、中年層を中心とした入院患者が急増している。遅れて、この年齢層の重症患者も急速に増加している」と指摘しました。

また、都の基準で集計した25日時点の重症患者は今月18日時点の275人から2人増えて277人で、過去最多になりました。

専門家は「極めて高い水準で推移している。重症患者用の病床がひっ迫し、病床が空いてもすぐに次の患者が入院し、満床となる事態になっている」と指摘しました。

25日時点の重症患者277人の男女別は、
▽男性208人
▽女性69人です。

年代別では、
▽50代が最も多く109人、次いで
▽60代が58人、
▽40代が49人、
▽70代が27人、
▽30代が23人、
▽80代が6人、
▽20代が4人、
▽10代が1人でした。

専門家は「40代から60代で重症患者全体の78%を占めている。この年代に対してワクチン接種は重症化の予防効果と死亡率の低下が期待されていることを啓発する必要がある」と指摘しています。

そのうえで「今週は20代と30代でも新たな重症例が発生している」と述べ、肥満、喫煙歴のある人は若年であっても重症化リスクが高く、警戒する必要があるという考えを示しました。

このほか、人工呼吸器かECMOの治療がまもなく必要になる可能性が高い状態の人は25日時点で571人でした。

今月18日時点より2人増え、過去最多を更新しました。

25日時点で陽性となった人の療養状況を今月18日時点と比べると、▽自宅で療養している人は2943人増えて2万5169人、▽都が確保したホテルなどで療養している人は212人増えて2019人でした。

また、医療機関に入院するか、ホテルや自宅で療養するか調整中の人は2323人増えて1万26人となりました。

入院患者を含めた「療養が必要な人」全体の数は4万1368人で、今月18日時点より1171人増えました。

全療養者に占める入院患者の割合はおよそ10%、宿泊療養者の割合はおよそ5%でいずれも前回から1ポイント増えましたが、専門家は「極めて低い水準だ」と指摘しています。

一方で、自宅療養者と、入院するか、ホテルや自宅で療養するか調整中の人は「依然として著しく多い」と説明しました。

また、今月23日までの1週間で自宅療養中の死亡が5人報告されたと説明し「深刻な事態になっている」と述べました。

そのうえで「自宅などでの体調の悪化を早期に把握し、速やかに受診できる仕組みなど、自宅療養者のフォローアップ体制のさらなる強化が必要だ」と指摘しました。

一方、今月23日までの1週間で新型コロナウイルスに感染した44人が亡くなりました。

このうち31人は70代以上でした。