東京の感染状況「災害時と同じ 自分の身は自分で守る」専門家

東京都のモニタリング会議で、専門家は感染状況について、「数週間にわたって制御不能な状況が続いていて、災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態が続いている」と指摘したうえで、「医療提供体制は深刻な機能不全に陥っており、現在の感染状況が続けば救える命が救えない事態がさらに悪化する」として、先週に続いて極めて強い危機感を示しました。

会議のなかで、専門家は、都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。

このうち感染状況について、新規陽性者の7日間平均は今月19日におよそ4702人と過去最多を更新したあと、25日時点ではおよそ4388人となり、極めて高い値が継続していると説明しました。

そのうえで、「数週間にわたって制御不能な状況が続いている。医療提供体制は深刻な機能不全に陥っている。この1週間で新規陽性者数は横ばいに見えるが、このような高い数値が継続するだけでも状況は悪化していく」と指摘しました。

そして、「検査を迅速に受けられないことにより、さらに多数の感染者が潜んでいる可能性がある。災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態が数週間、続いている。災害時と同様に、自分の身はまず自分で守ることが必要だ」と呼びかけました。

一方、医療提供体制について、専門家は、入院患者が25日、4154人と過去最多を更新し、自宅療養中に容体が悪化した患者の救急搬送や入院の受け入れが困難になっているなどと説明しました。

そのうえで、「現在の感染状況が続けば医療提供体制の限界を超え、救える命が救えない事態がさらに悪化する」と指摘し、先週に続いて極めて強い危機感を示しました。

都医師会 猪口副会長「救える命が救えない事態に」

モニタリング会議のあと、東京都医師会の猪口正孝副会長は「入院先を探すのに困難な状況が続いている。重症患者を中心に何とか入院していただいているが、何時間もかかるというようなかなり厳しい状況だ。救える命が救えない事態になりつつあることをご理解いただきたい」と述べました。

国立国際医療研究センター 大曲氏「今後の動向にかなり心配」

モニタリング会議のあと、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は今の感染状況について、「なかなか抑え切れておらず、制御不能な状況が続いている」としたうえで、「検査で診断しきれない方々も相当いると思うのでその影響も加味しながら見ていかなければならない。要は、今の数字を見るときに非常に注意しなければならないということだ」と述べました。

そして、「今後の動向にかなり心配をしている。人流が増加しているし、学校が始まる。対策をしっかりやっていくわけだが、影響が出ないようにどうやっていくのかが大事だ」と述べました。

賀来座長“五輪開催と感染急拡大に関して都民の意識調査検討”

新型コロナウイルス対策で都に提言や助言を行う「東京iCDC」の「専門家ボード」の座長で、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、記者団から「東京オリンピックの期間中に感染が急拡大したが、大会の開催が都民の意識や行動にどう影響したかについてアンケート調査をする考えはあるか」と聞かれたのに対し、「今後、東京iCDCの専門家とも協議し、意識がどうだったのかということを含めて、少し検討していきたい」と述べ意識調査の実施を検討する考えを示しました。