献血からの血液製剤投与の患者がB型肝炎に 日赤が対応見直しへ

去年、国内の医療機関で献血から作られた血液製剤の投与を受けた男性患者が、投与が原因でB型肝炎ウイルスに感染していたことが分かりました。日本赤十字社によりますと、血液製剤には感染が判明した人がその80日余り前に献血した血液が使われていましたが、国のガイドラインに基づいて行った複数の検査で感染のリスクはないと判断していたということで、対応を見直す方針です。

厚生労働省などによりますと、ことしに入って国内の医療機関から「去年9月に血液製剤を投与した60代の男性患者が肝炎を発症した」と日本赤十字社に報告がありました。

原料の血液を調べたところ、そのうちの1人からB型肝炎ウイルスが検出され、この人物の献血から感染したことが確認されたということです。

日本赤十字社は、献血された血液についてNAT=「核酸増幅検査」と呼ばれる方法を使ってB型肝炎ウイルスなどが含まれていないか調べていて、今回、献血した人は去年3月に献血した際の検査で感染が確認されました。

国のガイドラインでは、感染が確認された場合、その72日前にさかのぼって同じ人物が献血した血液を検査し回収することになっています。

しかし、男性が献血したのは84日前で、複数の検査でも感染の危険性がないと判断されたことから男性の血液は回収されず、感染の原因となりました。

これを受けて日本赤十字社は今後、献血した人の感染が判明した場合、その人が過去に献血した血液を原料にしたすべての血液製剤について輸血に使用しない方針を決めたということです。

また、厚生労働省は専門家と協議してガイドラインを見直すことにしています。

日赤「真摯に受け止め早急に対応」

日本赤十字社は「患者やご家族の皆様にご心配をおかけしております。今回の事例を真摯(しんし)に受け止め対策の必要があると判断し、早急に対応しています」などとコメントしています。

なぜ感染が見抜けなかったか?

B型肝炎ウイルスに感染した人が体内にウイルスを持ち続ける状態になると、肝臓がんや肝硬変に進行するおそれがあります。

日本赤十字社は献血された血液についてNAT=「核酸増幅検査」と呼ばれる方法を使ってB型肝炎ウイルスなどが含まれていないか調べています。

ウイルスの遺伝子の一部をおよそ1億倍に増幅することでわずかなウイルスでも高い感度で検出できますが、感染した直後は血液中のウイルスが少ないため、検出できない「ウインドウ・ピリオド」と呼ばれる期間があります。

厚生労働省などによりますと、今回献血した人はおととしまでに18回の献血を行い、NATではいずれも陰性でしたが、去年、19回目の献血で初めて陽性となりました。

日本赤十字社では、国のガイドラインをもとにウインドウ・ピリオドの2倍にあたる72日前にさかのぼって献血された血液をNATで調べ直し、回収することにしていましたが、男性が献血したのは84日前でした。

また、過去に感染していたかを調べる検査なども行いましたが、陰性だったため感染した時期は最近だと判断し、回収しなかったということです。

厚生労働省は、感染力があるにもかかわらず検査では検出できない世界的にもまれなケースだったと見ています。

今回の問題は国の委員会でも報告され、出席した専門家からは日本赤十字社の対応に厳しい意見が出されました。

委員を務める医師の1人は「ガイドラインで定めた調査対象の期間外だからいいと判断するのではなく、出荷するべきではなかった」としたうえで「少なくとも在庫はすべて調べるべきだった」などと指摘しています。