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コロナ禍 会場を設けずオンラインだけで株主総会 国内で初開催

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、東京のベンチャー企業が、会場を設けずにオンラインだけで株主総会を開きました。完全オンライン形式での株主総会は、ことしの法改正で開催できるようになっていて、実際に行われるのは国内で初めてだということです。
オンラインのみの株主総会を開いたのは、東京のベンチャー企業「ユーグレナ」で、26日は都内のオフィスの1室に社長ら経営陣が集まり、午前9時半から総会が始まりました。

通常の株主総会は、会場を設けて株主を集め、質疑や議案の採決を行いますが、26日の総会はオフィスに通信機器を臨時に設置し、完全オンラインの形式で行われました。

総会にはおよそ550人の株主がオンラインで参加し、社長は特設サイトに入力された株主からの質問にカメラを通じて答えていました。

そして、議案の採決もオンラインで行われ、総会は通信障害などのトラブルもなく1時間余りで終了しました。

完全オンライン形式での株主総会は、ことし6月に改正産業競争力強化法が成立したことで開催できるようになっていて、この会社も新型コロナの感染拡大防止につながるなどとして実施を決めたということです。

経済産業省などによりますと、この形式での総会が行われるのは国内で初めてだということですが、実施に向けて準備する企業も相次いでいて、今後、新しい株主総会の形として広がる可能性があります。

社長「遠方の株主にも参加してもらうことができてよかった」

ユーグレナの出雲充社長は「完全オンラインの総会は日本で初めてだったので本当に緊張したが、無事に終わってほっとしている。コロナ禍でも遠方の株主にも参加してもらうことができ非常によかった」と話していました。

メリットの一方で課題も

完全オンラインの形式での株主総会は、ことし6月に改正産業競争力強化法が成立したことで開催できるようになりました。

メリットとしては、株主が1つの会場に集まらないため新型コロナウイルスの感染拡大のリスクを減らすことができることや、遠方に住んでいるなどの理由で出席が難しかった株主が参加しやすくなることなどが挙げられています。

また、株主総会は株主にとって経営陣に直接質問ができる貴重な場ですが、オンラインのほうが質問をする際の心理的なハードルが下がり、質問する人が増えて経営陣と株主の対話が活性化するという見方もあります。

一方で、課題も指摘されています。

オンライン開催では、あらかじめ受け付ける質問の数が増えることが予想され、会社にとって都合の悪い質問が意図的に排除される懸念があります。

このため、総会の時間内に取り上げられなかった質問に対しても会社のホームページで回答するなど、株主の意見を適切に反映した運営が必要だという指摘があります。

また通信障害が発生するリスクに備えて音声を録音し、株主があとで内容を確認できるようにしておく対応なども必要となります。

企業法務に詳しい、西村あさひ法律事務所の太田洋弁護士は「オンラインのみの総会によって、会社側にさらなる情報開示を促したり、株主との対話をより深めたりするきっかけになることが期待される。ただ、重要な経営問題がある際にリアルで総会を開催しないことが適切かどうかは検討すべきだ。会社には株主に対して誠実に向き合う姿勢やシステムの整備などが求められる」と話しています。

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