妊婦や配偶者などを対象 都内でワクチン優先接種の動き

千葉県で、新型コロナウイルスに感染した妊婦の入院先が見つからず、自宅で出産して赤ちゃんが亡くなったことを受けて、東京 葛飾区は、希望する妊婦や妊婦の配偶者などに対し、優先してワクチン接種を行う機会を設けることを決め、25日から受け付けを始めました。

この取り組みは、千葉県柏市で新型コロナに感染した妊婦の入院先が見つからず、自宅で出産して赤ちゃんが亡くなったことを受けて、東京 葛飾区が始めました。

25日から電話で予約を受け付けていて、対象となるのは、区内に住民票がある妊婦や、出産のために区内に里帰りしている妊婦、それに妊婦と同居している配偶者などのパートナーです。

区では、今月29日から集団接種会場で接種を始める方針で、90人分の予約枠を設けていますが、定員を超えた場合は予約枠を追加する方針だということです。

このほか、都内では新宿区や江東区なども27日から妊婦を対象にした優先接種の受け付けを始める予定で、重症化しやすい妊婦の接種を優先的に進める動きが活発化しています。

葛飾区は「これまでも、妊娠している女性から接種の予約がとれないという不安の声が寄せられていた。妊婦の感染も増加する中で、希望する妊婦が全員接種できるよう機会を確保していきたい」と話しています。

港区の病院では接種が始まる

東京 港区の母子医療の専門病院では、25日から病院に通う妊婦に対してワクチン接種を始めました。

千葉県で新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養していた妊婦が入院先が見つからずに自宅で出産して赤ちゃんが亡くなり、妊婦へのワクチン接種の在り方に注目が集まる中、東京 港区の母子医療の専門病院「愛育病院」は、かかりつけ医としている妊娠後期の妊娠28週以降の妊婦に対して25日からワクチン接種を始めました。

予約は、病院の専用ダイヤルで行っていて、愛育病院では今後、ワクチンの供給に滞りがなければ、妊娠28週未満の妊婦やパートナーに接種対象を広げていきたいとしています。

産婦人科病院 ワクチン接種希望の妊婦増える

千葉県で新型コロナウイルスに感染した妊婦の入院先が見つからず、自宅で出産して赤ちゃんが亡くなって以降、都内の産婦人科病院ではワクチンの接種を希望する妊婦が増えています。

東京 墨田区の産婦人科病院「中林病院」は、妊婦への接種を積極的に行おうという保健所の方針もあって、ワクチンを保管する冷凍庫が設置されていて、先月から区内の妊婦を対象に接種を行っています。

病院によりますと、千葉県で新型コロナに感染した妊婦の入院先が見つからず自宅で出産して赤ちゃんが亡くなって以降、ワクチン接種を希望する妊婦からの問い合わせが増えているということです。

休診日以外は毎日開いている説明会への参加希望者も倍増しているということで、25日もおよそ10人の妊婦が参加し、妊娠後期に感染した場合の重症化のリスクや、ワクチンの効果や副反応について、熱心に耳を傾けていました。

第2子を妊娠している30代の女性は「身近な人から副反応の話を聞き、接種しないと決めていましたが、千葉県のケースを知り、迷うようになりました。きょう聞いた内容を踏まえて家族とも相談したい」と話していました。

まもなく臨月だという30代の女性は「妊娠中に副反応で発熱するのはしんどいし、住んでいる地域ではなかなか予約が取れなかったので、産後落ち着いてから接種しようと考えていましたが、今の医療の現状に危機感を覚え、里帰り出産するこの病院で接種することを決めました」と話していました。

この病院ではかかりつけでなくても予約を受け付けていて、妊婦が次々に訪れ接種を受けていました。

これまで一日6人までとしていた予約枠を増やすことも検討しているということです。

中林靖副院長は「地域の医療機関の病床がひっ迫しているので、妊婦の感染を防ぐことが重要です。正しい情報を伝えて、希望する方に可能なかぎり接種してもらえるよう、今後も取り組んでいきたい」と話していました。