集中治療室がコロナ専用に 心臓手術などに影響も 千葉大学病院

千葉大学病院では、集中治療室を新型コロナウイルスの重症患者の専用病床とした影響で、心臓手術を通常の3分の1以下にまで減らさざるをえず、医師は「手術で助けられる命が失われる可能性が高くなってきている」と話しています。

千葉大学病院では、新型コロナの重症患者の急増に対応するため、集中治療室の病床をすべてコロナ専用にしたことから一般の手術に影響が出ています。

特に、手術後に人工呼吸器の使用や容体の急変に備えて経過観察するなど、集中治療室での管理が必要な心臓の手術は、8月上旬から週に2~3件しかできず、通常の3分の1以下に減っています。

現在は救命救急の重症患者用の治療室で経過観察していますが、利用できる人数は限られ、およそ30人が手術を待っています。

手術を待つ70代の女性は、心臓に栄養を送る血管が細くなる「狭心症」の症状が悪化して、先週、新しい血管の通り道を作るバイパス手術を行う予定でしたが延期となり、いつ強い胸の痛みに襲われるか不安を抱えています。

ほかにも、体内で最も太い血管にこぶができて破裂すると大量出血のおそれがある「大動脈りゅう」の手術を待つ患者などもいますが、医師は容体などを慎重に見極め、手術の順番を決める難しい判断を行っています。

この状況が続くと、現在、延期になった手術だけでも、年内いっぱいかかる見通しだということです。
千葉大学病院の心臓血管外科長の松宮護郎医師は「患者に手術延期を伝えると落胆される方が多くて、非常につらい。命に関わる病気で時間的にも余裕がない患者に、精神的にも身体的にも、大きな負担をかけている現状を理解してほしい。普通のタイミングで手術をしていれば助けることができた命が失われる可能性が高くなってきている」と話しています。

心臓手術延期の患者は

このうち70代の女性は、心臓に栄養を送る血管が細くなる「狭心症」の症状が出ました。

しかし症状が悪化し、先週、新しい血管の通り道を作るバイパス手術を行う予定でした。

しかし集中治療室が使えないことから延期になり、今月、本人に伝えたところ新型コロナウイルスの感染状況なども踏まえて「仕方ないですね」と話したということです。

ただ手術の予定がたたないことに落胆した様子だったということです。

現在は、いつ強い胸の痛みに襲われるか不安なまま手術を待っていて、今は安静にするしかないということです。

また60代の男性は心臓の機能が低下して息切れなどの症状がでています。

不調の原因となっている心臓の弁を修復する手術をするために長期で仕事を休んでいますが手術のめどはたっていません。

男性は、周囲に迷惑をかけたくないといつ手術を終えて仕事に復帰できるか気にしているということです。