宣言追加 「客が来ないのはつらい」広島 宮島の土産物店

緊急事態宣言の対象地域に広島県が追加される見通しとなったことについて、広島を代表する観光地、宮島では、土産物店から不安の声が聞かれました。

世界遺産の厳島神社がある広島県廿日市市の宮島には、およそ80の店が軒を連ねる商店街がありますが「まん延防止等重点措置」が今月20日に適用されて以降、ほとんどの飲食店が休業しています。

こうした中、厳島神社の近くにある土産物店では、日持ちがする菓子を中心に仕入れるなどして、営業を続けてきました。

しかし、島を訪れる人が少ないことから、おととしの同じ時期と比べると店の売り上げは9割以上減っているということです。
緊急事態宣言が再び出される見通しとなったことについて、土産物店を営む山本三千代さんは「宣言が出ることがまた急に決まったので、従業員のシフトや給料をどうするか困っています。来店客の中にはマスクをしない人もいるので、怖いと思いながらも、客が来ないのはつらいです」と話していました。

広島市内から訪れた親子連れは「子どもの夏休みが今週で終わるので来ましたが、広島でも感染者が増えているので、宣言が出ることはしかたないと思います。手洗いやうがいなどをして気をつけたいです」と話していました。

宮島の旅館「正直またかという気持ち」

また、宮島では、宿泊施設の関係者からも不安の声が聞かれました。

宮島には、新型コロナウイルスの感染拡大前のおととしまで、例年400万人を超える観光客が訪れていましたが、去年は半分ほどに落ち込み島内におよそ20ある旅館やホテルでも宿泊客の減少が続いています。

このうち創業100年を超える老舗旅館では、宿泊客はおととしの同じ時期と比べておよそ6割減少しているということです。

この旅館では、感染を防止するため食事を客室で提供したり、大浴場の混み具合をスマートフォンや客室のテレビで確認できるシステムを導入したりするなど、客どうしが接触する機会を可能なかぎり減らしながら運営しています。

広島県に緊急事態宣言が再び出る見通しとなったことを受け、この旅館には25日までにキャンセルが数件、入っているということです。

宣言期間中は空き時間が増えることから、接客のトレーニングを行うなど、コロナ後を見据えて取り組むことにしています。

「錦水館」の志熊聡支配人は「正直またかという気持ちです。抑えられる経費を極力抑えながら営業を続け、辛抱を続けるしかありません。ワクチンの接種が進み一刻も早く元どおりになってほしいです」と話していました。