プラスチックごみ再生利用へ 企業などに求める対策案 政府

プラスチックごみの削減、そして資源としての再生利用を進めるため、政府は企業や自治体に求める対策案をまとめました。無料で配られるスプーンやストローなど12品目について大量に提供する事業者に見直しを義務づけるほか、プラスチックごみの回収強化策などが盛り込まれています。

政府はことし6月に成立した「プラスチック資源循環促進法」に基づき、企業や自治体に求める対策について検討を進めていて、23日開かれた環境省と経済産業省合同の審議会でその案が示されました。

それによりますと、まず、プラスチックごみを削減するため無料で配られる使い捨てのプラスチック製品について、提供方法の見直しを求めます。

具体的には、コンビニなどで提供されるスプーンやストロー、ホテルや旅館で用意される歯ブラシやかみそり、それにクリーニング店で使われるハンガーなど12品目を「特定プラスチック使用製品」に指定し、代わりとなる素材への転換を促したうえで、有料化や受け取らない客へのポイント還元などの工夫を求めます。

年間5トン以上提供する事業者には、こうした対策が義務づけられ、取り組みが不十分な場合は国が勧告や社名の公表などを行います。

また、新たに設けられる、環境に配慮した設計のプラスチック製品を国が認定する仕組みについて、製品の減量化や耐久性の向上、再生利用が簡単な原材料を使用するといった指針が示されました。

さらに、リサイクルを促進するためペットボトルや食品トレーなどとそのほかの使用済みのプラスチック製品を「プラスチック資源」として一緒に回収する「一括回収」について、対象となるごみの具体的な基準が示されました。

導入を促すため「一括回収」を行う自治体に対し国が費用を補助することも検討するとしています。

政府は今後、こうした対策を政令や省令などとして定めることにしていて「プラスチック資源循環促進法」と合わせ、来年4月の施行を目指しています。

「特定プラスチック使用製品」12品目

「特定プラスチック使用製品」に指定されるのは、
◇コンビニやカフェなどで提供されるフォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー、
◇ホテルや旅館などで用意されるヘアブラシ、くし、かみそり、シャワー用のキャップ、歯ブラシ、
それに
◇クリーニング店などで使われるハンガー、衣類用のカバーの、
12品目です。

これらの品目を指定する理由について、環境省は、提供される量が多く、使用を合理化することでプラスチックごみの排出抑制が見込まれること、それに、過剰な使用をやめたり代替素材への転換を促したりする効果があることをあげています。

事業者には有料化、受け取らない客へのポイント還元、消費者に対し受け取るかどうかの意思の確認、繰り返しの使用、軽量化などの中から、1つ以上の対策を講じることが求められます。

“巣ごもり需要”で家庭のプラスチックごみは増加

新型コロナウイルスの感染拡大で、いわゆる「巣ごもり需要」が増える中、家庭から出るプラスチックごみの量は増えています。

全国の自治体からプラスチックごみのリサイクルを委託されている日本容器包装リサイクル協会によりますと、昨年度、全国の自治体から引き取った容器包装のプラスチックごみは68万1436トンで、感染拡大前の前の年度からおよそ2万7000トン、率にして4%増加し、この10年間で最も多くなったということです。

また、東京23区のうち、プラスチック製の容器包装などを分別回収している12の区に取材したところ、すべての区で昨年度のごみの量は前の年度より増えていました。

増加率を詳しく見ますと、中央区が13%、品川区が11%、目黒区と杉並区が9%、中野区と練馬区が8%、港区、新宿区、江東区、江戸川区がそれぞれ7%、千代田区が4%、葛飾区が1%でした。

このほか、全国の主な自治体に聞いたところ、大阪市で6%、名古屋市で5%、札幌市と仙台市、広島市ではそれぞれ4%、前の年度より増加していました。

「一括回収」先行の自治体では

環境省によりますと、プラスチックごみをまとめて回収する「一括回収」の取り組みは、全国でおよそ30の自治体がすでにスタートさせています。

東京 日野市は去年1月から容器や日用品、おもちゃなど、プラスチックを含むさまざまなごみを「プラスチック類ごみ」として一括回収しています。

以前はペットボトルと食品トレー類だけを「資源ごみ」として集め、このほかのプラスチック製品は不燃ごみとして主に都内の最終処分場に埋め立てていました。

しかし、リサイクルを強化する必要があると考え、資源化するための施設を独自に整備しました。

一括回収されたプラスチックを含むごみはこの施設で選別や破砕、圧縮したあと、セメントや燃料などとして再生利用されていて、日野市での家庭ごみ全体のリサイクル率は一括回収を始めてから5%ほど向上したといいます。

ただ、リサイクルできるプラスチックごみは8割ほどで、そのほかは焼却処分せざるをえないといいます。リサイクルに適さないごみが混じっているからです。

日野市が回収の対象としているのは、すべてプラスチックでできている製品か、表面積に占めるプラスチックの割合が最も大きいもので、さらに、汚れを洗い落としてからごみとして出すよう呼びかけています。

しかし、実際には、汚れがひどいままのものや、含まれるプラスチックが少ないものも多く、昨年度は18%がリサイクルできず、焼却処分などに回されたということです。

また、電池やライターといった有害ごみも見つかるほか、針が付いたままの注射器が入っていて手作業で仕分けている作業員がけがをしたこともあったといいます。

日野市クリーンセンターの井上泰芳施設課長は「一括回収を行っても、不適切なごみが混じっていればリサイクルはできません。せっかくの資源をきちんと再生利用するためには、家庭できちんと分別などを行ってもらうことが大切で、協力をお願いしたい」と話していました。

専門家「消費者の側も理解や協力を」

今回示された対策について、プラスチックごみの問題に詳しい京都大学の浅利美鈴准教授は「製造や販売、リサイクルに至るまで企業や自治体に大きな変革を求める内容で、中には痛みや不便を伴うものもあると思う。対策をより効果的に進めていくためには、消費者の側もそのことを理解し、環境に配慮した商品の購入などを通じて協力していくことが必要になる」と指摘しています。

そのうえで「プラスチックは生活に浸透した空気のような存在で、全く使わない生活にするのは無理だと思う。買い物をするときには本当に必要なものか、そして長く使えるかといった点を考えて商品を選び『捨てて終わり』ではなくて、リサイクルについても意識することが、私たち消費者に求められている」と話していました。