横浜市長選 当選の山中氏 “就任後速やかにIR誘致を撤回”

過去最多の8人が立候補した、横浜市長選挙で当選した山中竹春氏が23日、市役所で当選証書を受け取り、就任後速やかにIR=統合型リゾート施設の誘致の撤回を宣言するとともにコロナ対策として医療提供体制の確保などに取り組んでいく考えを示しました。

山中竹春氏は、横浜市長選挙で50万票以上を獲得して当選し、23日、市役所で当選証書を受け取りました。

このあと山中氏は記者団の取材に応じ「身の引き締まる思いだ。市民が住んでよかったと思える横浜を作るという強い責任感でいっぱいだ」と述べました。

そして、今月30日に市長に就任したあと速やかにIR誘致の撤回を宣言し、市の「IR推進室」を廃止する考えを示しました。

さらに、感染の急拡大が続く新型コロナ対策として今後、医療提供体制の確保やワクチン接種のスピードアップ、検査態勢の充実などに取り組む考えを示しました。
22日、投票が行われた横浜市長選挙で立憲民主党が推薦した元横浜市立大学教授の山中竹春氏が初当選したことを受けて横浜市民からは、さまざまな声があがっていました。

横浜市中区の自営業の男性(59)は「現職の市政が長かったので、そろそろ別の人をと期待する人も多かったのかなと思うし、自分も別の人を選びたいと思った」と話していました。

また、横浜市中区の男性(68)は「若い方なので行動力には期待しているが、市の財政問題に全く触れていないので、今後財政問題にどう取り組んでいくのか、お手並みを拝見したい」と話していました。

横浜市緑区の会社員の女性(26)は「新しい市長には若い人たちのワクチン接種率をあげることに力を入れてほしいのと、外出制限を呼びかけた際の経済的な支援をしてもらいたい」と話していました。
また、カジノを含むIR=統合型リゾート施設の誘致をめぐっては「自分もIR反対だったので、公約をぜひ実現してほしい」と話していました。

【記者解説】大差で勝利の背景は

取材にあたった横浜放送局の有吉記者に聞きました。

Q:山中さんの大差での勝利の背景はどこにあったでしょうか。

記者:市民の関心が「新型コロナ対策」に集まった点だと言えます。

神奈川県内では連日のように2000人以上の感染確認が発表されています。

山中さんはみずからを「コロナの専門家」として支持を訴え、街頭では野党の幹部も口をそろえて菅政権や林市政のコロナ対策を批判しました。

不安や不満を感じている人たちを引きつけたと言えます。

Q:争点の1つとして挙げられていたIRは市民の投票行動にどう影響?。

記者:横浜市内では、去年、反対する市民団体や野党がIR誘致の是非を問う住民投票条例の制定を求める署名活動を行いました。

20万近い署名が集まりましたが条例案自体は市議会で否決されました。

ただ、山中さんを推薦した立憲民主党の関係者は「署名活動を通してIR反対の主張は市民に十分浸透していたため選挙戦がスタートした時点で争点はIRではなくコロナ対策に移っていた」と振り返っています。
NHKの22日の出口調査では75%の人がIR反対と回答しました。

菅政権の閣僚だった小此木さんも市民の理解が得られていないとしてIR反対を打ち出したためIRは争点としてわかりにくくなっていたという見方もあります。

公明党の関係者は「新型コロナの感染急拡大と内閣支持率の低下影響を日増しに感じた」と受け止めています。
小此木さんの陣営でも「コロナ対策を前面に打ち出す必要がある」とポスターや演説内容を変えたのですが、それは選挙戦の最終盤でのことでした。

こうした結果、小此木さんは地元の鶴見区で山中さんを上回ったものの、菅総理の地元を含むすべての地域で及びませんでした。

自民党の関係者から「ここまでひどい大敗とは夢にも思わなかった」「想像を超える大惨敗だ」という声が聞かれるほどです。
Q:今後、山中さんはどのように市政運営に当たっていくんでしょうか。

記者:横浜市議会で多数を占めているのは自民党の会派と公明党です。

自民党の幹部は「IRの取りやめを訴えた小此木さんを支援した経緯を踏まえれば山中さんのIR反対に『反対』とは言えないが市議の一部はIR推進の林さんを支援した。どのように市議団をまとめていくかが問題だ」と難しい調整に頭を悩ませている様子でした。

また公明党の幹部は「政治経験がない山中さんがどう市政の舵取りをしていくのかわからないが、是々非々で臨みたい」としています。

山中さんの任期は今月30日からで、自身が選挙戦で訴えたIR誘致のとりやめや、コロナ対策の推進などをどのように実現していくのか、多くの市民が注目していると思います。