半導体が足りない! 自動車 家電 自宅療養の装置にまで影響が

世界的な半導体不足の影響が深刻になっています。

NHKが国内の主な企業100社に行ったアンケートでは、全体の6割近い企業が半導体不足によって事業に影響が出ていると回答しました。

アンケートからは自動車業界や電機メーカー以外にも幅広い業種に影響が広がっていることがうかがえます。

NHKは先月21日から今月4日にかけて国内の主な企業100社にアンケートを行い、世界的な半導体不足の事業への影響について尋ねました。

その結果
「影響がある」が20社、
「やや影響がある」が37社で、
全体の6割近い企業が事業に影響が出ていると回答しました。

「影響はない」は30社、
「その他」は9社、
「無回答」は4社でした。
「影響がある」「やや影響がある」と回答した57社に具体的な影響について複数回答で尋ねたところ、
最も多かったのが「半導体を使った部品の調達困難」で45.6%、
「半導体の調達価格の上昇」が26.3%で、
「減産」と回答した企業も22.8%に上りました。

影響があると回答した企業は自動車業界や電機メーカーが中心でしたが、運輸業界からは「自動車の生産が減ったことで輸送量が減少した」という声が寄せられたほか、情報通信、金融、メーカーなども「半導体を使った製品の調達が難しくなっている」と回答していて、幅広い業種に半導体不足の影響が広がっていることがうかがえます。
半導体不足がいつまで続くと考えるか尋ねたところ、
「2021年内」が10社、
「2022年前半」が13社、
「2022年後半」が17社、
「2023年以降」が3社、
「わからない」が45社でした。

企業の間には世界的な半導体不足が長期化することへの懸念も広がっています。

コロナ禍での需要拡大 工場の火災…供給が追いつかない

スマートフォン、自動車、家電など幅広い製品に使われ「産業のコメ」とも呼ばれる半導体。

コロナ禍で広がったテレワーク用のパソコンやゲーム機、それにアメリカなどで販売が急回復した自動車向けの需要が増えたほか、大手半導体メーカーの工場が火災に見舞われるなどのトラブルもあり、世界的に供給が需要に追いつかない状況となっています。

この影響で自動車業界では部品を十分調達できず、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどの各メーカーが相次いで減産や工場の稼働を一時停止する事態になりました。

影響は身近な家電にも広がり、家電量販店でも洗濯機や電話機の一部の製品が品薄になっているところがあります。

このほか情報通信では、楽天モバイルが通信規格が4Gの通信エリアについて、基地局に使われる半導体が足りないことを理由に通信エリアの拡大が当初示していた目標より遅れるという見通しを明らかにしていて、半導体不足の影響は通信サービスにも広がっています。

自宅療養で使う酸素濃縮装置 一部生産停止も

影響は自動車や家電だけでなく、新型コロナウイルスの自宅療養にも使われる酸素濃縮装置の一部生産停止という事態も起きています。

酸素濃縮装置は例えば新型コロナウイルスに感染した人が自宅や宿泊施設で療養中に、呼吸が苦しくなったときに入院までのつなぎとして使用します。

この命綱ともいうべき装置にも半導体不足の波が押し寄せています。

この装置の国内シェア2位、3割強を生産する大手医療機器メーカーの「フクダ電子」では、先月中旬から一部の生産が停止する事態となっています。

原因は「マイコン」と呼ばれる半導体が不足しているため、酸素の濃度や量を測るセンサーが生産できないためです。

この会社のマイコンはアメリカからの輸入ですが、ことし春ごろから調達が難しくなっているといいます。

自動車や家電などほかの電子機器との獲得競争が激しくなっていることが背景にあるものとみられています。

会社では、半導体の調達先を変えるほか、病院や自治体には大がかりな部品交換を先延ばしするよう依頼しているということです。

フクダ電子の神田豊晴生産本部長は「患者の生死にかかわるので何としても製品を届けたいという思いだが、順調な生産ができず非常に困っている」と話しています。

専門家「秋から年末にかけてが不足のピークか」

半導体市場の動向に詳しいイギリスの調査会社「オムディア」の南川明シニアディレクターは「半導体は電子機器と呼ばれるものすべてに使われ、われわれの生活の隅々にまで広がっているので、半導体不足の影響はかなり広い範囲に起こってしまう。この秋から年末にかけてが不足のピークだと思う」と話しています。

そのうえで「半導体メーカーはいま巨額の設備投資を行っているので、自動車向けの半導体の不足は徐々に改善に向かうと予想される。ただ、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルに向けて世界中で投資が行われようとしており、風力発電や太陽光発電、車のEV化などにわれわれの想像を超える半導体需要が生まれる可能性がある。そうなれば来年の後半になっても半導体不足が続くおそれがある」と指摘しています。

そして「半導体不足によってカーボンニュートラルや5Gの普及といった国の政策の進捗(しんちょく)にも影響が出る可能性があるが、生産能力を高めるための設備投資には多額の資金が必要になる。税制上の優遇措置など国の対策も必要になるのではないか」と指摘しています。