大雨被害で民生委員死亡 “自治体に対応任せて” 厚労省が通知

今回の記録的な大雨で、長崎県では1人暮らしの高齢者から頼まれて家に向かったと見られる民生委員の女性が水害に巻き込まれて死亡しました。
厚生労働省は、避難の呼びかけが行われている地域では、民生委員は地域の見守りなどの活動はせず、自治体に対応を任せるよう全国に通知しました。

今月14日、長崎県西海市では、警戒レベル5の「緊急安全確保」が出される中、近所の1人暮らしの高齢者から「怖いから来てほしい」と頼まれた民生委員の田崎文子さん(70)がその後、高齢者とともに用水路の周辺で亡くなっているのが見つかりました。

これを受け、厚生労働省は全国の民生委員に対して、災害時には自分の身の安全を優先するよう緊急の通知を出しました。

通知では自治体から避難情報が出ている間は、要支援者の見守りなどが必要な状況でも自分で対応せず、自治体に対応を任せるよう求めています。

具体的には警察や消防などが対応することを想定しているということです。

民生委員などで作る連合会によりますと、東日本大震災でも、要支援者の避難誘導などにあたった民生委員56人が死亡しています。

連合会の事務局の佐甲学さんは「田崎さんが地域のためにという強い使命感で行動した結果だと思うので大変悲しい。災害時に民生委員が過度な負担を負わなくてすむよう行政との間であらかじめ役割を決めておくことが最も大切だ」と話しています。

民生委員 災害時のガイドライン“みずからの安全を最優先に”

近所の住民によりますと、亡くなった田崎文子さんは元看護師で、面倒見がよく、地元の1人暮らしの高齢者の家に出向いては、身の回りの世話などをしていたということです。

住民の1人は「親切心でこういう出来事に遭ってしまったというのはかわいそうというよりほかありません」と話していました。

また、別の地区で以前、民生委員をしていた女性は「田崎さんは責任感を持って民生委員を務めていました。当時も車で避難所まで送り届けようとしていたのではないでしょうか」と話していました。

全国民生委員児童委員連合会は、東日本大震災で高齢者の安否の確認や避難誘導の支援などに当たっていた民生委員56人が死亡したことをきっかけに、民生委員に身の安全を確保してもらうためのガイドラインを策定しました。

ガイドラインでは「民生委員は災害対応の専門家ではなく、その地域で生活する住民のひとりであることから、多くの役割を担えるものではなく、担うべきでもない」としています。

そのうえで災害時の留意点として、みずからと家族の安全を最優先に考えること、地域住民や地域の団体と協力して対応すること、それに行政と協議して災害時の情報共有の方法をあらかじめ決めておくことなどを挙げています。

全国民生委員児童委員連合会の事務局の佐甲学さんは「災害時には、民生委員だけでなく、地域で連携して対応するという意識を向上させていくことが求められている」と指摘しています。