“ロックダウン”のような抑制策求める緊急提言 全国知事会

緊急事態宣言などの対象地域が、20日から拡大されたことを受け、全国知事会が会合を開き、現在の宣言発令で効果を見いだせないことは明白だとして国に対し、「ロックダウン」=都市封鎖のような徹底した人流抑制策の検討などを求める緊急提言をまとめました。

オンラインで開かれた会合では、新型コロナウイルスの急速な感染拡大に歯止めがかからない現状に対し、参加した46人の知事が次々に強い危機感を示しました。

埼玉 大野知事「抗体カクテル 外来で自宅療養者にも適用を」

埼玉県の大野知事は「軽症者の多くは自宅療養となっている。抗体カクテル療法の効果に対する期待も込めて、外来で自宅療養者にも適用できるようにしてほしい」と述べ、医療機関に入院しなくてもこの療法を受けられるよう対象を外来診療にも拡大するよう求めました。

大阪 吉村知事「デルタ株の感染力 認識が国も不十分では」

大阪府の吉村知事は「デルタ株の感染力は、いままでの株と全く違うという認識が国も不十分なのではないか。感染の拡大をどこまで許容できるのかという基準を示すことなく、自然に感染者数が減っていくのを待つということは絶対あってはならない」と述べました。

長野 阿部知事「“宣言”の全国同時発令を」

長野県の阿部知事は「全国的に他の都道府県との往来が由来の感染者が多いと思う。まん延防止等重点措置か緊急事態宣言の全国同時発令をしっかり行うことで、全国民に同じメッセージを出すことがいま必要ではないか」と述べました。

島根 丸山知事「真摯 (しんし) に振り返るべき」

島根県の丸山知事は「なぜ、いま国民から、政府・行政サイドからの要請を聞き入れてもらえない状況になっているかを真摯 (しんし) に振り返るべきだ。東京オリンピックの開催と感染拡大防止の両立ができなかったことを反省したうえでないと、いかに強いメッセージや規制をおこなっても、国民の協力は得られないのではないか」と述べました。

また、ワクチンの供給についても多くの要望が多く出され、岐阜県の古田知事は「ファイザーのワクチン供給が、地方の希望量とかなりかけ離れている。岐阜県では、高齢者向け接種が順調に進んだ結果、その後の一般向け接種分が減る事態になっているので、国は、調整枠の配分の際、各都道府県の実情を丁寧に把握してほしい」と述べました。

このほか、会合では、夏休み明けで再開する学校や保育園などで、子どもたちに感染が拡大することへの懸念も多く指摘され、国に対し、十分な量の検査キットの速やかな配布を求める声が出されました。

そして、会合では国に対する緊急提言をまとめました。

このなかでは、現在の緊急事態宣言の発令で効果を見いだせないことが明白になったと指摘したうえで「ロックダウン」のような徹底した人流抑制策について速やかに検討するよう求めています。

このほか、医療崩壊を来さないよう医療機関などに手厚い支援を行うことや、経済・雇用支援策への財政措置をさらに充実させることなども求めています。