新型コロナ 自宅療養の妊婦早産で新生児死亡 千葉県知事検証へ

新型コロナウイルスの首都圏での医療体制が危機的な状況となる中、千葉県で自宅療養中の妊婦が入院調整が行われたものの受け入れ先が見つからず、そのまま自宅で出産し、赤ちゃんが亡くなったことが県などへの取材で分かりました。千葉県の熊谷知事は「妊婦の方も含めて感染者がなかなか入院できない状況は重く受け止めている」として、検証を行う考えを示しました。

新型コロナに感染した妊婦の出産は、▽感染対策で手術時間を短縮するため帝王切開を行う準備が必要だったり、▽生まれた赤ちゃんをすぐに隔離することが必要だったりして、対応できる病院が限られ、入院調整に時間がかかるケースがみられています。

こうした中、県などによりますと、妊娠8か月の30代の妊婦は感染が確認され、今月15日から保健所などで入院調整が行われたものの受け入れ先が見つからず、自宅で療養していたということです。

しかし17日、出血があったほか、呼吸状態が悪くなり、保健所やかかりつけの産婦人科などが、再度、医療機関を探したものの見つからず自宅で出産したということです。赤ちゃんは早産のため緊急の処置が必要で、病院に救急搬送されましたが、亡くなったということです。女性は命に別状はなかったということです。

熊谷知事は定例会見で「妊婦の方も含めて感染者がなかなか入院できない状況は重く受け止めている。産科の医療機関などと連携を行い、どのようなサポートができるか検討していく」と述べ、検証を行う考えを示しました。

加藤官房長官 「妊産婦の搬送体制など対応支援」

加藤官房長官は、記者会見で「亡くなられた新生児の方に対してご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族の方にお悔やみを申し上げたいと思う。今回、こうした残念な事案が発生したことから、厚生労働省において詳細を確認するとともに、各都道府県に対して、改めて妊産婦などの搬送体制や入院体制の確保について具体的な対応を求めていく。政府として、必要な支援をしっかり行っていきたい」と述べました。

一方、記者団から「『医療崩壊』が起きているという認識はないのか」と問われたのに対し、加藤官房長官は「『医療崩壊』という言葉は、いろいろ使われているが、医療が大変厳しい状況になってきているというのは事実だと思う」と述べました。