米バイデン政権 来月から3回目のワクチン接種行う方針

アメリカのバイデン政権は、新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を終えた人に対し、来月から3回目の接種を行う方針を明らかにしました。

アメリカでは、去年12月からワクチンの接種が進められ、17日時点で人口の50.9%にあたるおよそ1億6890万人が接種を終えていますが、感染力が強い変異ウイルス「デルタ株」による感染が広がっていて、新規感染者の数は去年夏のピーク時を上回っています。

こうした中、バイデン政権は18日、重症化を防ぐためにワクチン接種は有効だとする一方、接種から時間がたつと効果が減少するというデータを示しました。

そのうえで、ワクチンの効果を長続きさせるためには3回目の接種が必要だとして、2回目の接種を終えてから8か月たった人に対し、来月20日の週から3回目の接種を行う方針を明らかにしました。

ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチンと、モデルナのワクチンを接種した人が対象で、医療従事者や高齢者など感染リスクが高い人たちから始まるということです。

一方、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンを接種した人については、データの検証にあと数週間必要だとして改めて方針を示すとしています。

CDC=疾病対策センターのワレンスキー所長は「すべてのアメリカ人を守るためだ」として、3回目の接種への理解を求めるとともに、未接種の人が多い地域での感染が拡大しているとして改めて接種を促しました。

WHO “3回目接種の有効性 科学的根拠ない”

アメリカのこうした方針について、WHO=世界保健機関の主任科学者、スワミナサン氏は18日の記者会見で「現在、得られているデータは追加の接種の必要性を示していない」と述べ、現時点では3回目の接種の有効性について、科学的な根拠はないという認識を示しました。

3回目の接種をめぐってWHOは、途上国などでのワクチン接種を進めるため、来月末までは追加の接種を行わないよう各国に呼びかけています。

バイデン大統領 3回目接種の重要性を強調

これについてバイデン大統領は、18日の会見で「今後、出現する可能性がある新しい変異ウイルスから身を守るためにも最も有効な方法だ。パンデミックを早く収束させてくれるだろう」と述べ、3回目の接種の重要性を強調するとともに、まだ一度も接種していない人たちに改めて接種を呼びかけました。

一方、WHO=世界保健機関が途上国などでの接種を進めるため、追加の接種を行わないよう呼びかけていることについては「アメリカ国民への接種と海外に対する支援は両立できている。アメリカは世界のほかの国々が提供したワクチンの合計よりも多くの数を提供してきた」と述べ、3回目の接種に問題はないと反論しました。