変異ウイルス「デルタ株」感染拡大 米中の現状と対策は

感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」の感染が世界で広がっています。
このうち中国とアメリカの感染状況と対策についてまとめました。

中国 7月下旬から「デルタ株」拡大

中国は、新型コロナウイルスの市中感染をゼロに抑え込む「ゼロコロナ」の政策をとってきましたが、7月下旬以降、感染力が強い変異ウイルス「デルタ株」の感染が拡大しました。

7月20日に江蘇省南京の空港で感染者が見つかったのをきっかけに感染が拡大し、少なくとも18の省や自治区などに感染が広がっているのが確認されました。

各地の当局は、人の移動が増える夏場の観光シーズンに感染が拡大することに警戒を強め、市民に対し、不要不急の出張や旅行などを控えるよう求めました。
また、これまで感染が拡大した際と同じように、感染のリスクが高いとされる地区を封鎖したり、大規模なPCR検査を行ったりするなどの厳重な対策も行いました。

その結果、8月9日には、1日あたりの市中感染での新規感染者が100人を超えていましたが、その後、徐々に減少に転じ、16日と17日は、いずれも6人でした。

中国政府は、9月から学校の新学期が始まることなどから、8月中には今の感染を食い止めたいとしています。

一方で、中国政府は、新型コロナワクチンの大規模な接種も進めていて、接種を済ませた人は、8月12日の時点で7億7000万人を超えたとしていて、全人口の半数を上回ったことになります。

中国政府は、接種の対象を12歳以上の若年層にも拡大するなど、対応を加速させています。

北京 ワクチン接種9割 スマホで行動管理 厳重対策に経済の懸念も

中国各地でワクチンの接種が進む中、北京では18歳以上の市民の90%以上が接種を済ませたと発表されていて、街なかでは飲食店などが、従業員の接種割合を示す貼り紙を掲示しているところもあります。

ただ、ワクチン接種が進んでも政府が「ゼロコロナ」を目指す中、対策はさらに強化されています。

8月に入ってから、商業施設や公園などを訪れる際、スマホのアプリを使って自分の感染リスクが低いことを示したり、QRコードを読み取って訪れた場所を記録したりすることが改めて徹底されています。
また、小学校や中学校では9月の新学期を控えて、生徒や教師に対して8月15日以降は北京市内から外に出ないよう指示が出されています。

市民からは「予定を立てていたが、子どもの学校の都合で市外には行けなかった。少し残念だ」といった声や、夏休み中の子どもたちからは「どこかに遊びに行きたいけれど、コロナのせいで行けない」といった声が聞かれました。

このほか、市内の主な観光施設や公園では、入場者数が通常の60%以下に制限されていて、一部で閉鎖されている施設もあります。

さらに旅行会社に対しては、北京を訪れる旅行客の管理を徹底するよう当局から通知が出されていて、世界遺産の故宮や天安門広場などでは、コロナ前と比べて人出が大きく減っています。

このため、例年であれば観光シーズンでかき入れ時を迎えている市内の土産物店や飲食店などにとっては痛手となっています。

土産物店の店員の女性は「先月は、いい時は1日の売り上げが2000人民元あったけど、きのうは30人民元で全くない日もある。毎日が赤字で店を閉じたいくらいで、どうすればいいのかわからない」と話していました。

中国では、これまで市中感染者をゼロに抑え込むことで経済活動を正常化させて景気回復につなげてきました。

一方で、感染が再拡大する度に厳重な対策がとられると、消費の回復が遅れる可能性があり、いつまでこうした対策をとり続けるべきなのかという議論も起こり始めています。

アメリカ 「デルタ株」で再拡大 ワクチン接種強化の動き

アメリカでは、バイデン大統領がワクチンの接種を国民に呼びかけて進めてきました。

CDC=疾病対策センターによりますと、8月16日の時点で18歳以上で少なくとも1回の接種を受けた人の割合は72%に達しています。

アメリカの経済活動は去年、ウイルスの感染拡大の影響で制限され、厳しい状況となりましたが、ことしはワクチン接種の広がりを背景に再開に向かっていました。

しかし、アメリカでも変異ウイルス「デルタ株」の感染が広がっていることから、1日あたりの感染者の数は増加傾向にあり、8月15日の時点で7日間平均が去年夏のピーク時の水準を上回っています。

このため、ワクチン接種の証明書の提示の義務化といった感染対策を強化することで、経済活動の再開の動きを止めることなく続けていこうという取り組みが広がっています。

ワクチン接種 証明書の義務化に賛否

新型コロナウイルスのワクチン接種の証明書の提示を義務づけることをめぐっては、ニューヨークの市民の間で賛否が分かれています。

義務化に賛成するレストランの経営者は「どの店も、みな同じ条件となり、接種証明を求めるかどうかを店に任せるより、ビジネスにとってよいと思う。14か月間も店を閉めなければならなかった去年のこの時期に戻りたくない」と話していました。

一方、義務化に反対するレストランの経営者は「時期尚早だ。ワクチンを打つかどうかは自分で決める権利があるべきで、顧客を失うことを恐れている」と話していました。