都内の大学病院 一般病棟を一部閉鎖 コロナ病棟の看護師増員も

新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制が危機的な状況となる中、東京都内で多くの重症患者を受け入れている大学病院では一般病棟の一部を閉鎖して看護師などを新型コロナ病棟の応援に回すぎりぎりの対応が続いています。

東京 板橋区の日本大学医学部附属板橋病院は、都内でも最も多くの重症患者を受け入れている病院の1つで、救命救急センターのICU=集中治療室6床に加え、新型コロナの専門病棟に50床を確保して主に重症者と中等症の患者を治療しています。

入院が必要な患者の急増に伴って看護師などの医療スタッフが不足し、さらに今月に入ってからより症状の重い入院患者が増えていることなどから受け入れができる患者の数が限界に達しているということです。

このため病院では泌尿器科と整形外科の一部の入院病棟を閉鎖し、新型コロナ病棟の看護師をこれまでの57人からおよそ1.5倍となる88人に増やすことになりました。

このうちまず看護師19人が配属され、16日研修が行われました。

研修では、朝の集会で看護部長が「看護師全員が自分のやるべきことをしっかりやって、この状況を乗り越えていきたい。ただ、無理はしないで限界になる前に必ず声をあげてほしい」と声をかけました。

そして、新型コロナの重症化を防ぐため、鼻から大量の酸素を投与する「ネーザルハイフロー」と呼ばれる医療機器の使い方や搬送用のストレッチャーにウイルスの飛散を防ぐカバーを取り付ける方法、それに防護服やマスクの着脱などを一つ一つ確認しました。

そのあとは患者の病室がある「レッドゾーン」と呼ばれるエリアに入り、実際の対応についての研修が行われました。

新たに配属された1人で、ことし4月に看護師になった稲木茉裕さんは「実際にレッドゾーンに入ると、症状の重い患者さんが多く、医療機器もたくさんあって普通の病室とはがらりと環境が違っていた。あすから1日ここで働くと考えると過酷さを感じ不安もあるが、日本全体がコロナで大変な思いをしている中で、自分が少しでも役に立つならばという思いで頑張りたい」と話していました。

今月に入り 症状の重い患者が増加

日本大学医学部附属板橋病院によりますと、第5波を迎えてから入院患者は急増していて、特に今月に入ってからは症状の重い患者が増えているということです。

病院によりますと、新型コロナ病棟に入院している患者のうち呼吸状態が悪いことなどで自力で歩くことができず、車いすなどが必要な患者は先月26日時点では、26人の入院患者のうち9人と全体の35%でした。

しかし、16日時点では、自力歩行ができない患者は39人の入院患者のうち27人で全体の69%とおよそ2倍に増えているということです。

このためこの病院では、医療的なケアなどにより多くのスタッフが必要になっているということです。

病院によりますと、感染力の強いデルタ株の感染者が増えたことや入院が必要な患者が急増し、より症状の重い患者が搬送されるようになったことなどが原因とみられるということです。

新型コロナ病棟の看護師、小野真紀さんは「重症度の高い患者さんが増えたことで、呼吸状態の確認やたんの吸引、体位を変えるなど、一人一人にかかる時間は長くなっていて、介助の度合いも上がっている。私たち看護師も疲弊してきているので、人員を増やす必要がある」と話していました。