「緊急事態宣言」「重点措置」 対象拡大と期限延長を決定 政府

新型コロナウイルス対策で、政府は、緊急事態宣言の対象地域に、茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県を追加し、期間は今月20日から来月12日までとすることを決定しました。
また、同じ期間、まん延防止等重点措置を、宮城、山梨、富山、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島の10県に新たに適用するほか、これに合わせて、今月31日までが期限の6都府県の宣言と、6道県の重点措置の延長も決めました。

政府は17日夜、総理大臣官邸で、新型コロナウイルス対策本部を開き、菅総理大臣のほか、西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣らが出席しました。

そして、
▽東京や大阪など6都府県に出されている、緊急事態宣言の対象地域に、茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県を追加するほか、
▽宮城、山梨、富山、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島の10県に、新たに、まん延防止等重点措置を適用することを決定しました。

期間は、
▽いずれも今月20日から来月12日までとし、
▽今月31日までとなっている6都府県の宣言と6道県の重点措置の期限の延長も決めました。

これによって、宣言の対象地域は13都府県に、重点措置の適用地域は16道県に拡大されます。

●医療体制構築 ●感染防止徹底 ●ワクチン接種の3本柱で

菅総理大臣は、政府の対策本部で「感染力の極めて強い『デルタ株』が、世界中で猛威をふるい、わが国でも、これまでに経験のない感染拡大が続いている。重症者数も急激に増加し、首都圏を中心に医療体制は非常に厳しい状況となっている」と述べました。

その上で、医療体制の構築、感染防止の徹底、それに、ワクチン接種を3本の柱として対策を進めていく考えを示しました。

そして、菅総理大臣は「最優先の課題は、患者の命を救うための医療体制の構築だ」として「症状が重い方がきちんと入院できるよう、病床を確保し、ホテル療養を含め、最大限の上積みを行っていく。急増している自宅で療養される患者の方々と必ず連絡がとれるように、電話診察などを強化し、酸素ステーションなど、酸素の投与ができる体制を構築していく。重症化を防ぐため、画期的な新薬である、中和抗体薬について、病院はもちろん、ホテルを臨時の医療施設として積極的に使用していく」と述べました。

また、感染防止策について「デパートやショッピングモールなどに、自治体と連携して、人数制限を呼びかけていく。さらに、混雑した場所への外出の半減、テレワークによる出勤者7割減をお願いする」と述べました。

さらに、ワクチン接種について「『デルタ株』に対しても発症や重症化の予防に大きな効果を発揮している。すでに高齢者の85%が2回接種を終え、重症化リスクが高齢者の次に高い40代、50代の方々、さらには若い世代の方々への接種に注力していく」と述べました。

そして、菅総理大臣は「政府一体となって、この危機を乗り越え、国民の命と安全を守るために対策を徹底していく」と述べ、各大臣に、総力を挙げて取り組むよう指示しました。

基本的対処方針の変更 どう変わる「施設の利用」

宣言や重点措置の地域で対策は、どう変わるのでしょうか。

まずは「施設の利用」についてです。

政府は、新型コロナウイルス対策の基本的対処方針を変更し、感染状況に応じて、知事の判断で事業者に人数の管理や制限などを要請するとしています。

感染リスクが高いとされるデパートの地下の食品売り場のほか、大規模商業施設に対して入場者の整理などが要請されるとみられます。

このほか、基本的対処方針では、人の流れを抑制するため、在宅勤務の活用などで、出勤者数の7割削減を目指すとしています。

「医療提供体制」は

そして、「医療提供体制」です。

症状が悪化した際に確実に酸素投与や治療につなげられるよう、施設の整備や酸素濃縮機の確保を進めるとしています。

また、軽症の患者などへの治療法「抗体カクテル療法」に使われる2種類の薬について、宣言や重点措置の地域を中心に、医療機関にあらかじめ配るなどとしています。

尾身会長 “一般の人々への行動制限の仕組みづくりを”

政府の「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は会合のあと、個人の行動制限に言及しました。

この中で尾身会長は「これまで飲食店など、事業者に対していろいろな制限をかけてきた一方で、一般の人々に対する行動制限は完全にお願いベースで行ってきた。感染状況がここまでくると、分科会のメンバーの一致した見解として、個人についても感染リスクの高い行動を避けてもらえるよう、保障するようなことが可能になるような新たな法律の仕組みをつくることや、あるいは現行の法律で対応できるならその活用をお願いしたいと考えている。これまで医療機関や医療従事者にお願いベースで行ってきたコロナ対応への協力要請も同じだ。単に協力をお願いするだけではこの事態を乗り越えられないことを想定し、法的な仕組みの構築や現行の法律のしっかりした運用について、早急に検討してほしいという強い意見が出た」と説明しました。

また、尾身会長は「ワクチンがコロナ対策の強力な柱の一つであることは間違いないが、それだけではこの状況を乗り越えられない。総理大臣や大臣、知事には、ワクチンや抗体カクテル療法など、一つのことだけですべてが解決するかのようなメッセージではなく、医療体制や検査体制の強化、人々の行動制限への協力すべての手段をパッケージ、総力戦として使わないといけないんだというメッセージを出してほしい。また、この2週間は最低でも人流を5割減らしてもらうようお願いしているのだから、個人のレベルで例えば週4回外出しているならそれを2回にしてもらうなど具体的にどうすればいいのかわかりやすく伝えるメッセージも発信してほしい」と述べました。

「宣言」や「重点措置」の発出続く東京

現在、「緊急事態宣言」下にある首都 東京は、今月31日までだった期限が来月12日まで延長されることが決まりました。

この結果、ことしに入って、3月下旬から4月中旬までの一時期を除いて、「緊急事態宣言」や「まん延防止重点等措置」が発出され続けています。

都民の間からは、たび重なる「宣言」や長引く時短・休業要請などへの「慣れ」や「疲れ」を訴える声も上がっていました。