「災害状態」コロナ重症患者治療に“優先順位” 千葉大学病院

新型コロナウイルスの感染急拡大で、千葉大学病院では集中治療室を重症患者専用にしていますが、それでも対応が追いつかず、災害現場のように治療に優先順位をつけざるをえない状況になっています。

千葉大学病院は先週から集中治療室をすべて重症患者専用にするなど、重症病床を4床から10床に増やしました。

一方で、医療スタッフを確保するため、一般の救急患者の受け入れがほぼできなくなっているうえ、がんや心臓などの経過観察が必要な手術は制限せざるをえなくなっています。

こうして重症病床を確保したものの、ほぼ満床の状態が続いていて、会議では症状が悪化した60代の男性については、重症病床に空きがないため一般病棟にとどまったまま緊急で人工呼吸器を付けるしかないと話し合われていました。

さらに、災害現場のように重症患者の治療も優先順位をつけて行わざるをえない状況になっているということです。

1週間、重症だった60代の男性は、通常なら集中治療室で経過をみるところ、人工呼吸器を外せるまで回復傾向になってきたことから、一般病棟に移ってもらうことになりました。

また、重症の40代の男性については、医療スタッフが体の向きをうつぶせにするなど対応をしていますが、スタッフが少ない夜間や週末は、より症状の重い持病のある患者を優先せざるをえないということです。

病院では重症患者以外にも重症リスクの高い患者を30人ほど受け入れていて、状態が悪化した場合、ECMO=人工心肺装置の使用も考えなければなりませんが、その場合、多くの医療スタッフが必要になり、ECMOの使用制限も検討せざるをえないということです。

救急科長の中田孝明医師は「患者数が多いのでいつもどおりの質の医療を全員に提供できず、まさに災害そのものだ。多くの命が危機にさらされていると現場にいる私たちはひしひしと感じていて、災害時の対応としてこれが適切かどうか、常に考えながら対応するしかない」と話しています。