「宣言」と「重点措置」対象拡大の政府方針 分科会が了承

新型コロナウイルス対策で、専門家でつくる分科会は、緊急事態宣言の対象地域に、茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県を追加し、期間は今月20日から来月12日までとする政府の方針を了承しました。
また、同じ期間、まん延防止等重点措置を、宮城、山梨、富山、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島の10県に新たに適用するほか、これに合わせて、今月31日までが期限の6都府県の宣言と6道県の重点措置を延長する方針も了承しました。

新型コロナウイルス対策をめぐり、17日、感染症などの専門家でつくる、政府の「基本的対処方針分科会」が開かれました。

西村大臣「桁違いの感染が広がっている状況」

この中で、西村経済再生担当大臣は「全国の新規陽性者は、2万人を超える日もあり、連日、極めて高い水準で推移し、文字どおり、桁違いの感染が広がっている状況だ。医療提供体制は、首都圏を中心に非常に厳しい状況にあり、専門家は『もはや災害時の状況に近い』とか『このままでは救える命が救えなくなる』といった認識を示し、極めて強い危機感を共有している」と述べました。

そのうえで、
▽東京や大阪など6都府県に出されている、緊急事態宣言の対象地域に、
▽茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県を追加するほか、宮城、山梨、富山、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島の10県に、新たに、まん延防止等重点措置を適用する方針を諮りました。

期間 いずれも今月20日から来月12日まで

期間は、いずれも今月20日から来月12日までとし、これに合わせて、今月31日までとなっている6都府県の宣言と6道県の重点措置の期限も延長する方針を説明しました。

大型商業施設に入場者の整理を徹底する方針

また、宣言と重点措置のもとで、酒の提供停止とともに、感染リスクの高い場所への人の流れを減らすため、1000平方メートルを超える百貨店やショッピングモール、専門店などの大型商業施設について、入場者の整理を徹底する方針を示しました。

“百貨店 学習塾 理美容室 クラスターが多数発生”

さらに、百貨店や学習塾、理美容室でもクラスターが多数発生していると指摘し「混雑した場所などへの外出機会の半減を強力に呼びかけていきたい。例えば、買い物の回数を半分にしていただくなど具体的に呼びかけを行っていきたい」と述べました。

そして、西村大臣は「医療提供体制のことを考えても 新規陽性者の数を抑えていかなければならない。改めて、この極めて厳しい状況を共有しながら、対策の徹底に取り組んでいきたい」と強調しました。

分科会では、こうした政府の方針について議論が行われ、了承されました。

菅首相 午後9時をめどに会見 国民に協力呼びかけ

これを受けて、政府は、衆参両院の議院運営委員会に報告し、質疑を行った上で、午後6時半から開かれる対策本部で正式に決定し、その後、午後9時をメドに菅総理大臣が記者会見し、国民に理解と協力を呼びかける見通しです。
これによって、宣言の対象地域は13都府県に、重点措置の適用地域は16道県に拡大されます。

西村大臣「危機的な状況に総力挙げての対応を共有」

西村経済再生担当大臣は、分科会のあと、記者団に対し「多くの専門家の皆さんから、今の感染状況や医療の状況について、極めて強い危機感の表明があり、医療提供体制を整えると同時に感染を抑えていかなければならない危機的な状況に総力を挙げて対応していくことを共有した」と述べました。

そのうえで「重症者などが増えていることも踏まえ、医療提供体制の強化にしっかり取り組むことや、外出機会の半減、移動自粛について強い意見があった。ワクチン接種と医療提供体制の強化、『抗体カクテル療法』もあわせ、人流を抑えて感染対策を徹底する」と述べました。

また、西村大臣は「専門家の多くから『個人の行動制限に関する法的仕組みの検討を進めてほしい』とか『特別措置法をはじめとした法律の運用改善でできるものがあれば早く取り組んでほしい』といった意見をいただいた」と述べました。

厚労相「全国一律に緊急事態措置を出した方がよいという意見も」

田村厚生労働大臣は、分科会のあと記者団に対し「最終的には了承されたが、『全国一律に緊急事態措置を出した方がよいのではないか』という意見のほか、感染者が減らない中で『運用や法整備を含めてさらに強い措置を検討した方がよい』という意見もあった」と明らかにしました。

また、記者団から、緊急事態宣言の期限の来月12日までには解除できないのではないかと問われ、「療養施設や酸素濃縮機の確保など、医療提供体制の整備を進めていく中で、総合的に判断し、専門家にも評価してもらいながら最終的に決めたい」と述べました。