夏の甲子園 宮崎商 出場辞退 選手など13人が新型コロナ感染

甲子園球場で開かれている夏の全国高校野球で選手など13人が新型コロナウイルスに感染したとして、宮崎商業が19日の初戦を前に出場を辞退することになりました。

これは高野連=日本高校野球連盟などが17日午後、リモートで記者会見して発表しました。

宮崎商業では今月14日の夕方、選手1人が発熱し、PCR検査で陽性反応を示していましたが、宿舎に入っているチーム関係者35人が医療機関で検査を受けた結果、発熱した選手を含め13人の感染がわかり、さらに保健所から8人が濃厚接触者と判断されたということです。

感染者の内訳は、個人の特定につながるとして明らかにしていません。

高野連などは、今大会で出場の可否を判断する際「個別感染」か「集団感染」かを重要視していて、今回は「集団感染」に該当すると判断し学校側に伝えました。

そして、17日午前、宮崎商業から19日の初戦を前に出場を辞退するという申し出があり、受理したということです。

宮崎商業が対戦する予定だった智弁和歌山高校は不戦勝になります。

夏の全国高校野球は、新型コロナウイルスの感染が急拡大するなか、代表校の行動などについてまとめた感染対策のガイドラインを設けて2年ぶりに開催されています。

会見のなかで、高野連などは、宮崎商業に違反はなかったと説明したうえで感染経路については現在、保健所が調査していることを明らかにしました。

宮崎商 橋口監督コメント「無念極まりない」

宮崎商業の門田誠校長は記者会見し、橋口光朗監督から寄せられたコメントを発表しました。

この中で、橋口監督は「甲子園を開催していただき、高野連の方々には感謝しかない。選手は春夏連続出場を勝ち取り、甲子園で勝利という目標を立ててこれまでやってきた。選手たちの最後の試合を甲子園のグラウンドでプレーさせてあげられなかったのが申し訳なく、無念極まりない。また、宮崎代表という立場で、学校関係者、保護者、OBなど県民の皆様に出場辞退という報告になってしまい大変申し訳なく思う」と、目標の舞台に立てなかった無念の思いをにじませました。

そのうえで「選手たちはここまで3年間つらく苦しい練習に耐え春夏連続出場を勝ち取るようなチームに成長し、頑張ってきた。その誇りを胸に堂々と今後の人生を歩んでいってほしい」と懸命に努力を続けてきた、選手たちへの気持ちをことばにしていました。

校長「生徒の健康 相手への影響考えると 辞退はやむをえず」

門田校長は会見で「苦渋の決断だが、感染が確認された選手はもちろんのこと、すべての生徒の健康、対戦相手への影響を考えると、辞退はやむをえなかった。今は生徒の安全を第一に考え、生徒一人ひとりと話して心のケアに努めている」と、学校関係者としての苦しい胸のうちを明かしました。

また、大会主催者による決定ではなく、学校として自主的に辞退を申し出たことについては「選手や監督の気持ちを考えると、高野連にすぐに辞退しますとは言えなかったのが本音だ」としたうえで「ただ、ひとりでも感染者が出るのは大問題で、感染者がかなりの数確認されたので、高野連からの指示を待つより、学校側が主体となって大会出場について考えていかなければならないと考えた」と説明しました。

門田校長などによりますと、感染が確認された13人は現在、宿舎の個室で待機していて、感染が確認されていない選手や関係者については、宮崎県になるべく早く戻れるよう、保健所の判断をあおぎながら調整を進めているということです。

智弁和歌山 校長コメント「宮崎商業のぶんまで頑張ってほしい」

対戦が予定されていた智弁和歌山高校の藤田清司学校長は「宮崎商業の選手、保護者、学校関係者の皆様の心中を察するにあまりありますが、本校の選手には宮崎商業のぶんまで頑張ってほしいと願うばかりです」とコメントしています。

高野連 八田会長「無念を思うと ことばない」

選手などが新型コロナウイルスに感染した宮崎商業が出場を辞退したことについて高野連=日本高校野球連盟の八田英二会長は「チーム内の集団感染が疑われるかどうかを重視してきました。今回は検査の結果と保健所からの報告を受けて集団感染とみなしたと宮崎商業にはお伝えしました」と説明しました。

そのうえで「辞退の申し出が学校側からありました。宮崎商業の無念を思うとことばもありません。厳しい練習を重ねて代表を勝ち取りいよいよ試合というところでの事態ですから、悔しさはいかばかりかはかりえません」と話していました。

感染者が出た場合の対応は

夏の全国高校野球で代表校の選手や関係者から新型コロナウイルスに感染したことが確認された場合、高野連=日本高校野球連盟などは緊急対策本部を設置して大会への参加の可否や日程の変更などについて協議するとしています。

感染者や濃厚接触者が出た代表校が大会に参加できるかどうかについては「集団感染」か「個別感染」かを重要視し、感染者や濃厚接触者の人数、そのほかの関係者の再検査の結果、感染経路などで判断するとしています。

そのうえで緊急対策本部が「個別感染」と判断した場合は、大会への参加を差し止めることはしません。

また、当初、初戦までは登録選手の入れ替えができるとしていましたが、高野連などは17日、2戦目以降でも試合開始予定時刻の2時間前までは入れ替えを可能にしました。

一方「集団感染」と判断した場合、代表校を差し替えることはせず、対戦が予定されていた代表校の不戦勝とします。

代表校の感染対策とは

高野連=日本高校野球連盟などは夏の全国高校野球を開催するにあたって新型コロナウイルスの感染対策ガイドラインを設けて代表校に移動や宿泊での対策の徹底を求めています。

【各都道府県からの移動について】
▽マスクを着用し、会話を控え、手指消毒を励行する。
▽バスで移動する際は適宜換気を行い、人と人の間隔を空けて座る。
▽公共交通機関を使う場合は混み合う時間帯をなるべく避けるように注意するなどとしています。

【宿舎での生活について】
▽食事は個別の配膳が望ましいとしたうえで、出来ない場合は一般利用者と分けて関係者専用のビュッフェスタイルとし、1人がマスク着用のうえ食事を取り分けるなど、配膳の際に感染対策に十分気をつける。
▽不要不急の外出は行わず外部との接触を極力避けるなどしています。

【甲子園球場を訪れるときの対策】
▽検温と体調のチェックを必ず行い、その結果を大会本部へ提出する。
▽37度5分以上の発熱や体調不良がある場合には来場を禁止し、速やかに医療機関を受診するなどとしています。

【試合に関して】
▽円陣を組む時は一定の距離を保ち、試合中にマウンドに集まるときは口元にグラブを当てる。
▽ベンチでは一定の距離を保ち、ペットボトルやコップの共有を避けるとともに熱中症対策を十分講じてマスクを着用する。
▽試合に勝ったあとの校歌を大声で歌わないことなども定めています。
▽チームの入れ替えで接触を避けるために、球場の土を持ち帰ることは控えるなどとしています。

さらに各代表校の選手と関係者はガイドラインの規定に従い大会前と大会中に最大3回のPCR検査を受けるとしています。

同じ宿舎利用の代表校は宿舎変更へ

高野連=日本高校野球連盟などは、選手など13人が新型コロナウイルスに感染するなどして出場を辞退した宮崎商業と同じ宿舎を利用していた代表校について宿舎を変更する準備を進めていることを明らかにしました。

関係者によりますと、宮崎商業は大阪市内の宿舎を利用していて、この宿舎には別の代表校1校も宿泊していたということです。

高野連などは学校名は明らかにしませんでしたが、今回の件を受けて宿舎を変更する準備を進めているということです。

一方、東北学院と同じ宿舎を利用していたチームはいないということです。