再び強まる雨・いつ避難したらいいの?

再び強まる雨・いつ避難したらいいの?
すでに各地で記録的な大雨となっていて、今後再び、土砂災害の危険性が高まるとみられています。命を守るためには、いつ、何をきっかけに避難を決断したら良いのか。不安に思っている方に注意してほしい情報をまとめました。

土の中の水分はすでに満杯

九州や中国地方、それに岐阜県や長野県を中心とする各地でこれまでに降った大雨で、土の中に大量の水分がしみ込んだ状態です。
土の中の水分量を示す「土壌雨量指数」という指標を見てみると、一連の雨の降り始めだった11日午前3時はほとんどの地域で低い状態だったのに対し、16日正午は、▽九州ではほとんどの地域で、▽中国地方でも広島県を中心とする地域で水分が多い状態となっています。

土砂災害のメカニズムに詳しい関東学院大学の規矩大義教授によると、雨がやんで1日や2日では土の中の水分はほとんど抜けず、地質の違いを考慮しても、8割から9割ほどの水分は残ったままの状態が続くということです。

ここにさらに雨が降れば、少しの雨でも規模の大きな土砂災害が起きるおそれがあります。

いつ避難する? 1 「土砂災害警戒情報」

では、何をきっかけに避難をするのが良いでしょうか?

まず参考になるのは、自治体と気象庁が発表する「土砂災害警戒情報」です。雨量や土壌の水分の状態などから判断されます。

情報が出ると、携帯電話に通知される場合が多く、「土砂災害警戒情報」が出たら避難を始めてください。
今回の大雨では、15日に長野県岡谷市で土石流が発生して3人が死亡しました。この時、自治体は「避難指示」を出していませんでしたが「土砂災害警戒情報」は発表されていました。

自治体からの「避難指示」が間に合わないケースもあるほか数日間、「避難指示」が出たままの状態が続いているところもあります。

土砂災害警戒区域の中に自宅がある人で、いったん自宅に戻られている場合、「土砂災害警戒情報」を避難のトリガーにすることを検討してください。

いつ避難する? 2 自治体からの「高齢者等避難」「避難指示」

もちろん、自治体から「高齢者等避難」や「避難指示」が出た場合、速やかに避難を始めてください。

数日間、「避難指示」が出続けている地域もあり、長期間の避難は大変だと思いますが、できるだけ避難を続けてください。

いったん自宅に戻っている方も夜の間だけでも、避難所や安全な場所に移動するなどしてください。

いつ避難する? 3 「前兆現象」は即避難

土砂災害が発生する前には「前兆現象」があることがあります。
例えば、▽斜面から小石が落ちてくる▽斜面に亀裂ができる▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。

こうした、いつもと異なる現象に気づいた場合は、すぐに崖や斜面から離れて、安全な場所に避難してください。

ただし、こうした前兆現象がないか確認するために、崖や斜面に近づくのは危険なのでやめてください。

自分の住む場所が避難必要か事前に確認を

「どこで災害が起きてもおかしくない」と言われますが、災害が起きうる場所はある程度想定されています。

土砂災害で避難が必要なのは、自宅が、▽山や斜面の近くにある、▽「土砂災害警戒区域」にある人たちです。

3年前・2018年の西日本豪雨では、土砂災害で犠牲者が出た場所のおよそ9割が「土砂災害警戒区域」などあらかじめ危険性が指摘されている場所でした。

今回の大雨でも、長崎県雲仙市と長野県岡谷市で犠牲者が出ていますが、いずれの現場も「土砂災害警戒区域」に指定されている場所でした。

ハザードマップを見て自宅が「土砂災害警戒区域」に含まれているかを確認してください。

また、記録的な大雨で、想定外の場所が崩れることもありえます。

斜面や崖からはできる限り離れて過ごしてください。

避難所に行くことだけが避難ではありません。

より安全で、より過ごしやすい場所で難を逃れることを検討してください。