東京 自宅療養者急増で「酸素濃縮装置」確保できない事態も

自宅療養者の急増で、東京都内では15日、自宅で酸素を吸入する「酸素濃縮装置」が確保できない事態も起きました。

東京 世田谷区の「桜新町アーバンクリニック」では15日午前、自宅療養中の30代の1人暮らしの男性に経過観察の電話をしたところ、血中の酸素飽和度が88%ほどになっていました。

男性は新型コロナウイルスに感染し今月11日から自宅で療養していますが、クリニックの医師が13日に往診したときには症状は主に熱とのどの痛みだったことから軽症と判断して毎日、電話で状態を確認していたということです。

症状が悪化し「中等症2」にあたると診断した医師は、入院が必要だと保健所に連絡するとともに、すぐに酸素投与を行うため「酸素濃縮装置」を手配しようとメーカーの貸し出し専用窓口に電話をしました。

ところが、都から指定されている4つのメーカーすべてが「在庫がない」という答えで、都にも直接連絡をしましたが「貸し出せる装置がない」と伝えられたということです。

医師はほかの業者にも依頼しましたが、15日は装置を確保することができませんでした。

16日朝になってクリニックでは真っ先に患者の男性に電話をかけ容体が悪化していないか確かめたあと、もう一度知り合いの業者に掛け合いました。

そして、ようやく夕方に1台用意できると伝えられ、ほっとした表情を見せていました。

「桜新町アーバンクリニック」の遠矢純一郎院長は「在宅で提供できる治療が限られているなかで、酸素投与は自宅療養者の命綱だ。酸素投与ができなくなれば自宅での療養は非常に危険になり、救える命が救えないことになる。こんな状況は過去に経験がなく、もはや機能不全と呼べる状態ではないか」と話していました。