コロナ 入院必要と判断されても自宅療養に “命の危機”

新型コロナウイルスの自宅療養者が急増する中、入院が必要と判断されても受け入れ先が見つからないケースが出てきています。命の危機を感じた患者や家族もいます。

ベッドに空きなく自宅療養「このまま死んでしまうのでは」

東京 板橋区に住む60代の男性は、今月5日に検査で陽性となりました。

39度前後の高熱が続いたため、家族が救急車を呼びましたが、入院先が見つからず、およそ3時間後になんとか診察だけは受けることができ、軽い肺炎と診断されたといいます。

男性には糖尿病などの持病もありますが、ベッドに空きがないと言われ、自宅での療養を続けざるをえませんでした。

症状は改善せず、今月11日、在宅医療を行う医師に往診を依頼したところ、血液中の酸素飽和度は入院が必要な値まで低下していることがわかりました。

医師がすぐに保健所に連絡しましたが、入院先は見つからず、急きょ自宅で酸素を吸入する機器を導入してしのぐことになりました。

男性が入院できたのは往診の翌日、感染判明から1週間たっていました。

男性の妻は毎日、夫の体温を測ってノートに書きつけるなど、見守るしかなかったということで「保健所に何度か入院させてくださいと電話しましたが、こういうときなので空きがないと言われました。夫は見るからに息苦しそうにしていて、ごはんも食べられなくなり、体重もどんどん減っていくので、本当に心配でした。このまま死んでしまうのではないかと、怖くてしかたありませんでした」と話していました。

往診した医師「感染拡大続けば 国全体が危機的状況に」

この男性を往診したのは、東京 板橋区で在宅医療を行う「板橋区役所前診療所」の鈴木陽一副院長です。

鈴木副院長は男性の持病について聞き取りながら、パルスオキシメーターで血液中の酸素飽和度を測ったり、背中に聴診器をあてたりしたあと、男性に階段の上り下りをしてもらいました。

体を動かして軽い負荷をかけることで肺に炎症が起きているかを確認するためです。

再び酸素飽和度を測ったところ、数値は86%まで下がりました。

入院が必要な「中等症2」にあたるとして、その場で保健所に連絡しますが「すぐには厳しい」と言われ、急きょ自宅で酸素を吸入する機器を手配することにしました。

しかし、大手の業者に連絡したところ、在庫が少なく届けることができても夜になると言われ、別の会社に依頼してなんとか確保することができました。

鈴木副院長は「重症化のリスクが高くすぐに入院が必要な人でも入院できない、もうそういう状況に来ている。このまま感染が拡大し続けたら、国全体が危機的な状況になるので、決して甘く見ることなく一人ひとりがもうひとふんばり感染対策を頑張ってほしい」と話しています。

東京都 自宅療養者 今月に入り2倍近くに急増

東京都内では、感染確認の急激な増加に伴って、自宅で療養する人も増えていて、14日時点で2万1729人に上り、過去最多となっています。

1か月前の先月14日は1841人だったので、1か月で11.8倍になりました。

また今月1日は1万1018人で、今月に入って2倍近くに急増しています。