重症度に応じて患者の転院を調整 病院間で連携進む 東京 港区

新型コロナウイルスの急速な感染拡大に歯止めがかからない中、東京 港区の病院では、近隣の病院から重症度が高い患者を受け入れる代わりに、自分の病院にいる症状が落ち着いた患者を引き受けてもらうなど、地域での連携を進めています。

東京 港区の東京都済生会中央病院は、比較的、症状が重い患者の治療にあたっていますが、20以上ある病床は満床の状態が続いています。

病院では、いのちの危険がある患者を1人でも多く救うため、軽症や中等症の治療にあたる近隣病院で症状が悪化した患者を受け入れられるよう、ベッドを空ける調整を進めています。

具体的には、近隣の病院から重症度が高い患者を受け入れる代わりに、自分の病院にいる症状が落ち着いた患者を引き受けてもらうということです。

この日も、近隣の病院から人工呼吸器が必要になった30代の患者を受け入れる代わりに、症状が落ち着いている中等症の患者に転院してもらう手続きを進めていました。

病院では、こうした地域での連携を広げようと、区内の7つの病院や保健所に呼びかけ、今週、オンラインで協議を行いました。

協議では、各病院の病床の状況が示されたうえで、今後はメーリングリストで患者の状況を毎朝、共有し、重症度に応じて対応できる病院を調整するなど検討していくことが話し合われました。

済生会中央病院の感染症専門医、吉藤歩医師は「都でも転院の調整は行われているが、時間を待てない緊急を要するケースは、地域ごとにうまくやっていく形じゃないとスピード感も必要なので回っていかない」と現状の厳しさを訴えていました。

“新たな患者受け入れを”保健所などから要請相次ぐ

東京都済生会中央病院では、満床の状態が続く中、新たな患者を受け入れてほしいと、保健所などから要請が相次いでいました。

中等症患者までの治療にあたる2か所の病院からは、いずれも重症の状態まで症状が悪化した30代の患者を受け入れてほしいと依頼がありました。

コロナ病棟を担当する吉藤歩医師は「30代男性で両方とも(人工呼吸器の)挿管が必要そうな方で、これから調整します。(症状が落ち着いた患者との)交換で受けられるかもしれない」と言って、重症患者を受け入れるためにベッドを空けることができるか調整を進めていました。

その後、症状が落ち着いてきた中等症の患者1人に転院してもらう代わりに、重症化した患者1人を受け入れることになりました。

調整からおよそ2時間後、30代の患者は救急車で搬送されてきました。

一方、もう1人は、この日は受け入れられず、調整が続けられていました。

済生会中央病院の感染症専門医、吉藤歩医師は「人工呼吸器をつけなければ、いのちを保てない方が、30代、40代、50代でたくさん増えている。本当はよくなってきた患者も最後まで診たいが、重症になった患者が発生した病院と患者を交換して、人工呼吸器が必要な患者を受け入れている。刻一刻と状況が変わっていく中で、地域の医療機関どうしで助け合っていくしか方法はないかと思う」と話していました。