“梅雨末期のような大雨も” 土砂災害リスク 把握する方法は?

“梅雨末期のような大雨も” 土砂災害リスク 把握する方法は?
「梅雨末期のような大雨のおそれがある」と警戒が呼びかけられている今回の大雨。雨が降り続いたところに、局地的に雨が強まると、土砂災害の危険性が高まるおそれがあります。自分の家の周辺のリスクを確認できる「ハザードマップ」の見方と土砂災害の特徴をまとめました。

ハザードマップの見方は?

避難を判断するうえで参考になるのが「ハザードマップ」です。
パソコンやスマートフォンから確認する方法です。

国土交通省が公開している「重ねるハザードマップ」は、土砂災害や洪水のリスクがある場所を1つの地図に重ねて表示することができるサイトです。

サイトではまず、知りたい「災害種別」を選択します。「洪水」や「土砂災害」などのアイコンをクリックすると、災害のリスクがある場所が地図上に表示されます。

そして画面上部のスペースに見たい場所を入力し、詳しく確認したい場所をクリックするとその場所の災害リスクが把握できます。
土石流発生の危険性がある渓流については、都道府県が「土石流危険渓流」に指定しているほか、「地すべり」の危険性のある地域は「地すべり危険箇所」、それに崖崩れの危険を示す「急傾斜地崩壊危険箇所」がそれぞれ示されることが多く、お住まいの場所のリスクを確認してください。

ハザードマップや避難に関する情報は、NHKのホームページ「あなたの天気・防災」や「NHKニュース・防災アプリ」でも確認することができます。

土砂災害の種類は主に3つ

土砂災害の特徴です。

「土石流」「地すべり」「崖崩れ」の、大きく分けて3つの種類があり、災害に備えて避難などの対応が必要な場所は、都道府県が「土砂災害警戒区域」に指定しています。

土石流

「土石流」は、水と混ざり合った大量の土砂と石、それに岩などが谷に沿っていっきに流れ下る現象で、先月、静岡県熱海市でも発生しました。

流れ下るスピードは時速20キロから40キロに達することもあるほか、木造住宅を押し流す力もあり、発生してからの避難は困難です。

地すべり

「地すべり」は、山の斜面が広い範囲にわたってゆっくりとずれ落ちる現象で、住宅が建つ斜面全体が滑り落ちたり、崩れた土砂が集落に押し寄せたりして大きな被害をもたらします。

崖崩れ

雨水がしみ込んだ住宅の裏山や山の急斜面などが一気に崩れ落ちるのが「崖崩れ」です。がけ崩れは突然起きることもあります。土砂災害における死者の割合も高くなっています。

熱海市で発生したような「土石流」の場合は、沢などに近い木造住宅では2階に逃げても助からないことがあります。

頑丈な建物や被害に遭うおそれの低い場所にあらかじめ移動することが大切です。

土砂災害 発生後の避難は困難・リスク把握を事前に

土砂災害は発生してからの避難は極めて困難です。

▽斜面から水が噴き出す
▽山鳴りなどの音がする
▽においがするなど前兆現象を伴うこともありますが、すでに差し迫っており、確認したら直ちに避難が必要です。

間に合わないおそれもあります。お住まいの場所のリスクを事前に把握し、災害が差し迫る前に早めに安全を確保することが命を守るために重要です。

一方、ハザードマップでリスクが表示されていない場所でも災害が起きるおそれがあります。

身の回りの状況や自治体の情報に注意してください。

8月の前線停滞 過去にも被害

8月に前線が長期間にわたって停滞し、大きな被害が出た例は過去にもあります。

7年前(2014年)の8月15日から20日にかけて、前線が本州付近に停滞し、その周辺の九州から東海にかけて広い範囲で雨雲がかかりました。
期間の前半にあたる8月18日にかけては、京都府福知山市で48時間の降水量が341ミリに達したほか、岐阜県高山市でも48時間の降水量が330.5ミリと、平年の8月1か月分の2倍近くに相当する雨が降って、総務省消防庁によりますと5人が亡くなりました。
また期間の後半にあたる8月19日の夜から20日の明け方にかけて、広島市で急激に雨が強まり、ごく限られた範囲で線状降水帯が発生しました。

県が設置した雨量計では2時間の雨量が207ミリに達するなど、局地的豪雨となって土石流が発生し、総務省消防庁によりますと災害関連死を含めて77人が亡くなりました。

気象庁は、最新の気象情報をふだん以上に細かく確認してほしいと呼びかけています。