脱炭素に向け8割の企業が具体的目標など策定 100社アンケート

NHKが国内の主な企業100社にアンケートを行ったところ、8割の企業が脱炭素に向けた具体的な目標や事業計画を自社で策定していると回答しました。世界的に脱炭素の動きが広がるなかで、積極的に対応しようとする国内の企業の姿勢がうかがえます。

NHKは7月21日から8月4日にかけて、国内の主な企業100社にアンケートを行い、「脱炭素社会」の実現に向けて具体的な目標や事業計画を自社で策定しているか尋ねました。

その結果、「策定している」が81社に上り、「策定していない」が1社、「検討中」が13社でした。

また、2030年に向けて温室効果ガスを2013年度に比べて46%削減する政府の目標については「達成できる」が9社、「厳しいが達成できる」が51社、「達成は難しい」が12社で、達成できるという回答が6割を占めました。

世界的に脱炭素の動きが広がるなかで、積極的に対応しようとする国内の企業の姿勢がうかがえます。
目標達成に向けて必要だと思うことを複数回答で尋ねたところ、「再生可能エネルギーの調達」が68社と最も多く、「脱炭素の技術革新」が53社、「自社施設での省エネ推進」が46社などとなりました。

そして目標達成のために政府がすべきことを尋ねたところ、「脱炭素の技術革新の支援」が74社、「環境配慮の商品・サービスの購入を促す経済対策」が31社、「省エネの推進」が26社、二酸化炭素に価格をつけて企業などがコストを負担する「カーボンプライシングの推進」が23社などとなりました。

このほか、地球温暖化対策など環境の分野に資金の使いみちを限って資金調達する「グリーンボンド」と呼ばれる債券については、「すでに発行している」が23社、「今後発行を予定している」が1社、「発行を検討している」が24社に上りました。

「グリーンボンド」は欧米や中国などで発行の動きが拡大していますが、国内でも環境への取り組みを強化する動きが広がっていることがうかがえます。

専門家は

今回のアンケート結果について、気候変動をめぐる経済情勢に詳しい日本エネルギー経済研究所の田上貴彦さんは「各企業にとって非常に厳しい目標だが、なんとか達成しようという強い意志が表れている。ただ、2030年の目標まであと9年しかなく手段も限られている。省エネや再生可能エネルギー、原子力などの温室効果ガスを排出しない電力を使っていくことが短期の対策として重要になる」と指摘しています。

そのうえで、「鉄鋼や化学などは簡単に原料やエネルギーを変えることが難しく、運輸業界もすぐに電気自動車に切り替えることはできない。このため、2030年までに限定せずに2050年に向けて技術革新を着々と進めていくことが重要になる。エネルギーとして水素を使ったり、地中に二酸化炭素を埋めたりする技術開発が特に大事になるだろう」と分析しています。

そして「アメリカや中国、ヨーロッパでは大量の資金を脱炭素の技術開発に投入し、開発した技術が市場で利益を生み出すところまで支援を行っているところが多い。しかし、日本では先が見えない状況のなかで、脱炭素の技術開発に腰を据えて取り組める企業が少ないのが現状だ。日本でも競争力のある技術を開発し、育てていくことが必要だと思う」と指摘しています。