自宅療養増 “容体の変化 患者自身が正確に把握難しい” 医師

医療体制のひっ迫で、新型コロナウイルスに感染し、本来なら入院の対象となる患者でも自宅で療養するケースが増えていますが、重症患者の治療に当たってきた医師は、容体の変化を患者自身が正確に把握するのは難しく、頻繁に血液中の酸素の値などを測って症状が悪化しないか見る必要があるとしています。

厚生労働省が出している新型コロナウイルスの「診療の手引き」では、患者の重症度について、軽症、中等症1、中等症2、重症の4段階に分け、その判断や診療のポイントなどを示しています。

それによりますと、「軽症」は「パルスオキシメーター」で測る血液中の酸素の値が96%以上あり、せきは出ても息苦しさはなく、肺炎にはなっていない状態です。

自然に回復することが多いものの、病状が急速に進行することもあり、慢性の腎臓病や肥満など、重症化のリスクが高い患者は入院の対象となるとしています。

また、「中等症1」は血中の酸素の値が、93%から96%の間で、息苦しさや肺炎が認められる状態です。

中には酸素の値が低下しても、患者が息苦しさを訴えないケースもあるため、入院をしたうえで、慎重に観察することが求められるとしています。

さらに、「中等症2」は血中の酸素の値がさらに下がって93%以下で自力での呼吸が難しく、酸素投与が必要な状態で、高度な医療を行える施設への転院を検討するとしています。

そして、「重症」は肺炎が進行して、自力での呼吸ができず、全身に炎症が出たりする状態で集中治療室での治療や人工呼吸器を使った治療が必要な状態で、さらに容体が悪化すると、人工心肺装置=「ECMO」を使う場合もあるとしています。

感染の急拡大に伴う医療体制のひっ迫で、本来なら入院対象の中等症などの患者でも自宅で療養するケースが増えていますが、新型コロナウイルスの重症患者の治療についてまとめている「日本ECMOnet」理事長で埼玉県の専門病院、かわぐち心臓呼吸器病院の院長、竹田晋浩医師は容体の変化を患者自身が正確に把握するのは難しく、現状では頻繁に血液中の酸素の値を測って症状が悪化しないか、経過を観察する必要があるとしています。

竹田医師は「血液中の酸素の値がある程度保たれていても、息苦しさが増して人工呼吸器の管理が必要なケースもあり、患者が正確に状態を測るのは難しい。病床が足りない現状では患者さんがみずから、パルスオキシメーターで1日に何回も測ってもらって酸素の値が90%前半に下がらないか、注意してもらうしかない」と話しています。