新型コロナ 自宅療養どうすれば 感染対策は?一人暮らしは?

新型コロナウイルスの急速な感染拡大で、感染が確認されたあと自宅で療養する人が急増しています。
もし自宅での療養を余儀なくされたとき、個人で何ができるのか。
家族への感染を防ぐための対策や症状の悪化に気付くのに必要なことについて、感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授に聞きました。

家族への感染防ぐ8つのポイント

松本教授にまず聞いたのは、新型コロナウイルスに感染した人がいる家庭内で家族への感染を防ぐための対策についてです。

松本教授は、東京都が作成した自宅療養者向けのハンドブックで紹介されている基本的な8つのポイントを最低限、守ってほしいと指摘しました。

そのポイントとは、部屋を分けること、感染した人の世話をする人はできるだけ限られた人にすること、感染した人や世話をする人はお互いにマスクをつけること、こまめに手を洗うこと、日中はできるだけ換気をすること、手のよく触れる共用部分を掃除・消毒すること、汚れたリネン・衣類を洗濯すること、それに、ゴミは密閉して捨てることです。

すべて行うことが難しい場合、例えば「部屋を分けること」が難しい場合は、同じ部屋でも、仕切りを置いたり過ごすエリアを分けて距離をとったりするなどできるだけ工夫をしてほしいとしています。

「デルタ株」で対策の上乗せを

松本教授は、今、こうした対策の徹底がさらに大切になっていると訴えます。

その要因の一つが、感染力の強い変異ウイルスの「デルタ株」が国内でも主流になっていることです。

松本教授は「デルタ株が広がっていることによって、空気中を多くのウイルスが漂っている可能性がある。今まで以上にしっかり換気する必要があるなど、従来よりも対策をさらに上乗せしてしっかりやらなければ、家庭内感染を防ぐのはかなり難しい」と話していました。

症状悪化の兆候に気付くには

自宅療養中に症状が悪化し、治療が間に合わずに亡くなるケースも相次いでいます。

こうした最悪の事態を防ぐためにどういったことに気をつければいいのか。

松本教授は「肺炎の悪化に伴って呼吸状態が悪くなる兆候を見逃さないことが大事だ」と指摘します。

兆候を読み取るためにできることとして「パルスオキシメーター」で血液中の酸素飽和度をこまめにはかり、急激に下がったり90%を切ったりした場合、すぐに保健所に相談することをあげています。

「パルスオキシメーター」がない場合でも、肩で息をしていたり顔色が悪く唇が青ざめていたりする場合には呼吸状態が悪化している可能性があるとして、そうした状態を家族に気付いてもらうことなどが大事だとしています。

1人暮らしの療養 どうする

それでは、1人暮らしで自宅での療養を余儀なくされた場合、どうすればいいのでしょうか。

松本教授は「遠く離れている家族でも友人でもいいので、こまめに連絡を取り、連絡がなければ悪化したと早めに気付いてもらえる状態を築いておく必要があると思う。直接保健所に電話してもつながらず我慢している人もいるかもしれないが、さらに悪化すると救急車も呼べない状態になりかねないので、助けてもらえる人をある程度決めて事前に連絡しておくことが大事だ」と指摘しています。

また、療養中に必要な食料品などについて、東京都内では、都が設けている「自宅療養者フォローアップセンター」が希望者への無料提供を行っていましたが、最近は発送が遅れるケースも出ています。

松本教授は「自分が自宅療養することを想定して、解熱鎮痛薬や飲料水、食料品などを蓄えておいてほしい」と、ふだんからの備えが大切だとしたうえで、備えがない場合には家族や友人に玄関の外まで食料品を届けてもらうことなどを勧めています。

自宅療養「本来あるべきでない医療体制」

一方、松本教授は、本来、感染者は病院やホテルで療養することが望ましいとしています。

自宅で療養する人が増えていることについて「本来はあるべきでない医療体制だ。自治体も政府も医療機関にお願いするだけで、積極的に働いてベッドを確保して機能的に動かす仕組みを作ってこなかった。ここになって急に自宅療養に動いているが、それ自体が準備不足だったといえると思う」と自治体や国の対応を批判しました。

そのうえで「急に医療体制が整うわけではないので、多くの方がしばらく我慢しないといけない時期が続くと思う。自宅療養が必要になった場合は最低限守るべき対策のポイントを知ってもらい、何とか乗り切ってもらいたい」と話していました。