パリでオリンピック閉会式を生中継 旗の引き継ぎ 市民から歓声

東京オリンピックの閉会式は、2024年にオリンピックの開催が予定されているパリの特設会場でも生中継され、大勢の市民たちがオリンピックの旗が東京からパリに引き継がれる様子を見守りました。

パリ中心の観光名所、エッフェル塔そばの広場では8日、3年後の地元開催に向けて機運を盛り上げていこうと、大規模なイベントが開かれ、市民およそ6000人が集まりました。

会場には柔道男子のテディ・リネール選手など東京から帰国したばかりのメダリストが次々と登場し、選手たちの凱旋報告に大きな拍手が送られました。
また、東京の閉会式の様子は生中継で大型スクリーンに映し出され、オリンピックの旗がパリ市のイダルゴ市長に引き継がれるとひときわ大きな歓声があがりました。
会場を訪れた20代の男性は「無観客の大会となり日本の人たちは失望したと思いますが、アスリートたちの夢を叶えられたのはよかった。私たちが100年待ったパリ大会もかつてない美しく印象的なオリンピックになるはずだ」と話していました。

また、30代の女性は「新型コロナウイルスの感染が収まり選手も観客も誰もが参加できるようになればパリにもフランスにも大きな利益になる」と述べ、地元開催の成功に強い期待をみせていました。

2024年のパリ大会では開催経費の抑制と、観光都市パリの魅力をアピールするために、歴史的な建造物を広く活用する方針で、エッフェル塔や市内の広場や宮殿など、ツーリストに広く知られる観光スポットが競技会場になる計画です。

パリ五輪・パラ組織委会長「東京大会の運営は金メダルに値」

2024年のパリオリンピック・パラリンピック組織委員会のエスタンゲ会長がNHKの取材に応じ「東京大会の運営は金メダルに値する」と述べたうえで、パリ大会も新型コロナウイルス対策などあらゆる事態に柔軟に備えると強調しました。

東京大会を視察し帰国したエスタンゲ会長が8日、NHKのインタビューに応じ、閉幕した東京大会について「困難な情勢にあってどんな大会になるのか事前には想像できなかった。この複雑さに見事に対応した東京は金メダルに値する」と述べ、無観客での開催を決断したことや、大会期間中、感染対策を徹底したことに敬意を表すと強調しました。

そのうえで、3年後のパリ大会について「ウイルスの感染状況を予測するのは難しく、土壇場でも最良の選択ができるよう、あらゆる事態に柔軟に備えたい」と述べました。

またエスタンゲ会長は、「パリ大会は使用する施設の95%は既存の施設を活用し、パリを象徴する歴史的な建造物が競技会場になる。華々しさと持続可能な社会の実現とのバランスをいかにとるかが問われることになる」と述べ、3年後の大会開催に向けて経費をいかに抑制し、環境に配慮するかが最大の課題になるという認識を示しました。