「最後のとりで」救急医療の現場も病床ひっ迫 感染急拡大で

新型コロナウイルスの感染の急拡大は、救急医療の現場にも影響を及ぼしています。重症患者を受け入れている都内の病院では、新型コロナ以外の患者でも断らざるをえないケースも出ていて、医師は「コロナはもちろんそれ以外の病気やけがも迅速に医療を受けられない状況になりつつある。ひと事ではないことを知ってほしい」と訴えています。

東京 文京区の日本医科大学付属病院は、緊急性の高い重症患者に対応する3次救急の指定病院で、「最後のとりで」の役割を担い、新型コロナの患者も受け入れていますが、感染の急拡大で病床はひっ迫しています。

8月初めに9床だったコロナ患者用の重症病床を13床に増やして対応に当たっていますが、満床の状態が続いているということです。

6日は、午前中に重症化した30代のコロナ患者を別の病院から受け入れて満床となりましたが、高度救命救急センターのホットラインには、消防からコロナ患者の受け入れ要請が次々に入り、救急医が受け入れは難しいと伝えていました。

一方、一般の重症病床もコロナ患者への対応で半数以下の21床に減らしているため、コロナ以外の患者の受け入れを断らざるをえないケースも出ていて、この日は心筋梗塞の患者は受け入れたものの、けいれんを起こした患者は受け入れることができませんでした。

センターには、1日でふだんの6倍に当たる31件の要請がありましたが、受け入れられたのは8件にとどまったということです。

日本医科大学付属病院高度救命救急センターの横堀將司センター長は「受け入れ要請がこれほど来るのは、今までにないことで、ピークも見えない中戦々恐々としています。医療提供体制をさらに整えようとしていますが、人的資源にもかぎりがあります。コロナはもちろんそれ以外の病気やけがも迅速に医療を受けられない状況になりつつあり、ひと事ではないことを皆さんに知ってほしい。感染者数を減らすことでしかこの状況は改善しません。感染のリスクを減らすための行動をとってほしい」と訴えました。