オリンピック バスケ女子決勝 日本はアメリカに敗れ銀メダル

東京オリンピックバスケットボール女子の決勝で、日本はアメリカに75対90で敗れて銀メダルを獲得しました。この競技でのメダル獲得は男女を通じて初めてです。

日本は攻守にわたって全員で走り続け、徹底してスリーポイントシュートを狙う独自のスタイルを貫いて世界ランキング上位のチームを次々と破り、男女を通じて初めて決勝に勝ち上がりました。

8日、さいたまスーパーアリーナで行われた決勝で、日本は世界ランキング1位、大会7連覇を目指すアメリカと対戦しました。

前半は身長が2メートルを超えるアメリカの選手にインサイドで得点を重ねられましたが、日本も途中出場した本橋菜子選手のスリーポイントシュートなどで食らいつき、39対50とリードされて折り返しました。

後半、日本は反撃を狙いましたが、これまで40%を超える成功率を誇ってきたスリーポイントシュートが、相手の厳しいマークと高さを生かしたブロックで26%に抑えられ、点差を詰めることができませんでした。
日本は75対90で敗れ、銀メダルとなりました。

この競技でのメダル獲得は男女を通じて初めてです。

一方、アメリカはオリンピックでの連勝を55に伸ばし、7大会連続の金メダルです。

キャプテン 高田「みなさんの声援のおかげでここまで来られた」

キャプテンの高田真希選手は「本当に楽しかった。みなさんの声援のおかげでここまで来られたし、自分たちもつらい練習を乗り越えられた。オリンピックの舞台を作ってくれた人たちに感謝したい」と笑顔で話していました。

町田瑠唯「全員で戦うことができ最高の舞台だった」

司令塔の町田瑠唯選手は「オリンピックで初めてのメダルを獲得できてうれしい。全員で戦うことができ、最高の舞台だった」と話していました。

本橋菜子「けがあったが諦めずにここまで来られて良かった」

途中出場で4本のスリーポイントシュートを決めた本橋菜子選手は「けがをしてからここまで来るのが本当に長くて思い出しただけでも涙が出るが、たくさんの人に支えてもらい一緒に乗り越えられた。平坦な道ではなかったけれど、諦めずにここまで来られて良かった」と笑顔で話していました。
そして「自分やチームのできることは出し切ったので今はちょっとほっとしている」と話していました。

林咲希「課題も残ったが頑張った部分は評価したい」

この試合、相手の厳しいマークで得意のスリーポイントシュートを決められなかった林咲希選手は「銀メダルはすごいことなんだとみんなの表情を見て思ったけれど、自分のなかでは課題も残った。ただ、頑張った部分は評価したいし、チームのみんなにも感謝したい」と話していました。

ホーバス監督「厳しい練習が結果に これがスタンダードになる」

トム・ホーバス監督は「負けたので悔しいが、選手たちと銀メダルをつかむことができて最高だ。選手たちには『お疲れさま。感謝している』と言いたい。厳しい練習の中で頑張って、うまくなり、こういう結果が出た、本当にうれしい。バスケットの女子はこれがスタンダードになる。もっとレベルアップしていくと思う」と話していました。

「世界一」厳しい練習 全員で走り勝つスタイルで決勝へ

「私の夢であり目標は、東京オリンピックの金メダルがかかった試合でアメリカと戦い、そして勝つことです」
4年前、バスケットボール女子日本代表のトム・ホーバス監督は就任会見でこう語り、この瞬間から世界一を目指す挑戦が始まりました。
アメリカ出身で、かつての日本リーグやNBAでプレーしたあと、日本の女子の実業団で長年、指導者の道を歩んできたホーバス監督。日本代表で目指したのは、アグレッシブな守備から素早く攻撃に切り替え、全員で走り勝つスタイルでした。

そのために「世界一」と自負する厳しい練習を選手たちに課しました。さらに、NBAで主流となっていたスリーポイントシュートを軸とした戦術を採用。いずれも体格の小さな日本が世界で渡り合うために選んだものでした。

この4年間で作り上げてきた攻撃のフォーメーションは100通り以上にのぼり、オリンピックの準決勝の朝にも新しい攻めの形を練習していたと言います。

そんな緻密な戦略家の顔を持つ一方で、最も大事にしているのは選手との信頼関係です。ミーティングではすっかり使い慣れた日本語で穏やかに、時にユーモアも交えて語りかけます。一方、試合では表情が一変。集中力を欠いたプレーにはベンチから容赦ない叱責が飛びます。

「私はその選手ができることしか言わない。私は選手たちを信じているし、選手もそれをわかっている」

ホーバス監督は大会中の会見で、そう明かし、選手たちも口をそろえて「トムさんのバスケットをすれば必ず勝てる」と話す姿が、信頼関係の固さを物語っていました。
4年前は夢のまた夢だった世界の頂点。ただ、監督と選手たちは信じ続けてきました。「アメリカに勝つという私の話を聞いてみんな笑っていたし、誰も真剣に聞いていなかったよ」。準決勝に勝って史上初のメダルが確定しても誰も満足することなく「あと1勝」と臨んだ決勝。

王者アメリカには及ばなかったものの選手たちは磨いてきたバスケットを貫き、輝く銀メダルを手にしました。

スリーポイントシュート 世界に対抗する“飛び道具”に

“全員バスケ”をモットーに快進撃を続け、銀メダルに輝いたバスケットボール女子の日本代表。大胆な戦略を信じ抜いた選手たちが躍動しました。
前回大会でベストエイトに進んだ日本。

その中心となった身長1メートル93センチのエース、渡嘉敷来夢選手が、今大会はけがをしてメンバーを外れました。
「高さでは世界に対抗できない」

この厳しい状況でトム・ホーバス監督が掲げた合言葉が“全員バスケ”でした。ディフェンスは40分間、足を動かし続けて時には2人がかりでボールを奪う。そこから素早く切り替えて5人全員が連動した100通りを超える攻撃のフォーメーションにつなげるのです。
起点となったのはポイントガードの町田瑠唯選手でした。
身長1メートル62センチと小柄ながら、鋭いドリブルと広い視野を生かしたパスで得点を演出。準決勝まで全試合で2桁のアシストをマークし、準決勝のフランス戦では18アシストでオリンピック記録を更新しました。
そして、パスを受けた選手はポジションに関係なく誰もがスリーポイントシュートを狙いました。
今大会、フリースローを除く日本のシュート416本のうち、スリーポイントは190本で半数近くに達しました。成功したのは73本で確率は38%。
極めて高いアベレージを誇り、世界に対抗するまさに“飛び道具”となったのです。中でも準々決勝のベルギー戦、残り16秒で林咲希選手が決めた逆転のスリーポイントは、今大会を象徴する場面となりました。
ただ、決勝で対戦したアメリカは、そこを徹底的にマークしてきました。
林選手にはぴったりとディフェンスがついてスリーポイントは1本も決められず、チーム全体の成功率も26%に封じられました。

試合後、林選手は銀メダルを手にした笑顔の中に悔しさもにじませながら「自分のスリーポイントが日本に必要なんだとわかった大会だった。もっと速く打てるようになりたい」とレベルアップを誓っていました。

7連覇を果たした王者・アメリカには及ばなかったものの、世界を驚かせた日本の“全員バスケ”。「小さくても諦めずにみんなでやれば戦えると証明できた」町田選手は誇らしげにそう話しました。
「アメリカを倒して金メダル」と就任以来、言い続けたきたホーバス監督。

「このスタイルは変えない。だが、アジャストはしていかなければならない。日本の速さとチームワークを生かしてアメリカに勝つためにどうすればいいのか、これからも考えていきたい」と力を込め、最後に選手たちをたたえました。
「うちのチームにスーパースターはいない。だけど、スーパーチームだった」

【試合詳細】

第1Q 日本14-23アメリカ

第1クオーターを終えて日本がアメリカに14対23とリードを許す。日本は一時、13点差まで広げられるも高田(8)や本橋(15)のスリーポイントシュートで点差を縮める。

第2Q 日本39-50アメリカ

アメリカと互いに点を取り合う展開もアメリカの高さの前に攻めあぐねリードを広げられる。残り4秒で町田(13)のスリーポイントシュートが決まり、日本も追いすがる。

第3Q 日本56-75アメリカ

第3クオーターを終えて日本がアメリカに56対75とリードされて最終第4クオーターに入る。

ここまで日本のスリーポイントシュートは22本中7本の成功にとどまり成功率は32%にとどまる。フリースローを除くシュート全体でも38%。一方のアメリカはフリースローを除くシュート全体の成功率は62%。

第4Q 日本75-90アメリカ

一時はアメリカに25点差まで広げられるも、町田(13)などが得点を重ね差を縮める。残り1分の段階で17点差に。アメリカはシュートを決められない場面が多くなり、フリースローを除くシュート全体の成功率は50%台に。

しかし反撃及ばず試合終了。日本は敗れて銀メダルでしたが、日本にとってバスケットボールでは初めてのメダル獲得です。

日本、アメリカともに笑顔のタイムアップとなりました。