オリンピック【詳細】女子マラソン 一山麻緒が8位入賞

東京オリンピックは女子マラソンが行われ、一山麻緒選手が2時間30分13秒のタイムで日本選手でトップの8位に入賞しました。女子マラソンで日本選手が入賞したのは2004年のアテネ大会以来4大会ぶりです。

札幌市で行われた女子マラソンは、厳しい暑さによる選手への影響を考慮して当初よりも1時間前倒して午前6時にスタートし、札幌大通公園を発着する変則的な周回コースで行われました。

レースは序盤からスローペースで日本の一山選手と前田穂南選手は先頭集団で鈴木亜由子選手が集団のやや後ろで15キロすぎまで進みました。

その後、20キロ手前にある細かいクランクが続く北海道大学構内で集団はたて長となり前田選手と鈴木選手が遅れはじめました。

一山選手は先頭集団に食らいつきますが、後半、ケニアやアメリカなど集団を引っ張る選手たちがペースが上げ、33キロ付近で8人いた先頭集団がばらけて一山選手が遅れました。

一山選手は一時、9位まで順位を下げましたが、懸命の走りで前を追い1つ順位を上げてトップと2分53秒差の2時間30分13秒のタイムでフィニッシュし、日本選手でトップの8位に入賞しました。

女子マラソンで日本選手が入賞したのは、野口みずき選手が金メダルを獲得し日本選手3人全員が入賞した2004年のアテネ大会以来4大会ぶりです。

鈴木選手は2時間33分14秒で19位、前田選手は2時間35分28秒で33位でした。

▽金メダルは2時間27分20秒でケニアのペレス・ジェプチルチル選手
▽銀メダルは世界記録保持者のケニアのブリジット・コスゲイ選手
▽銅メダルはアメリカのモリー・サイデル選手でした。

フィニッシュ時は29.1度

札幌市で行われた女子マラソンは6日の男子50キロ競歩で10人が棄権するなど厳しい暑さの影響を考慮してスタート時間を1時間前倒してレースが行われました。

気象台によりますと、札幌市の気温はスタート前の午前5時50分の時点で気温は25.7度でしたが、時間の経過とともに気温がどんどん上がりました。

午前7時で27.5度、午前8時で28.7度、トップの選手がフィニッシュした午前8時半の時点では29.1度まで上がり、スタート前との温度差は3.4度と選手にとっては厳しい条件のなかでのレースとなりました。

それでも、すべてのランナーがフィニッシュしたあとの午前9時10分の時点で気温が30度を超え、30.3度を記録したことを踏まえるとレースを1時間前倒したことによる一定の効果はあったといえます。

一山「最後まで諦めずに走った」

8位となり日本選手として4大会ぶりに入賞した一山選手は「この大会に向けてずっときついことも苦しいことも我慢してやってきたうえでのこの結果なので、うれしいかというとそこまでうれしくはないが、自分の力は発揮しての8位だったと思う」と話しました。
また「トップ集団で走ることができたが、ほかの選手がスピードを切り替えた時に反応できなかった」と反省点をあげたうえで「この大会に向けてこれまでいろいろな人たちが支えてくれたので、『もうちょっと走らなきゃいけない』と最後まで諦めずに走った」と話していました。

前田「中盤から後半にかけて足が止まる状況」

レースの序盤は先頭集団を引っ張ったものの33位に終わった前田選手は、「大会が1年延期になったが、無事にオリンピックが開催されていいレースができたと思う。自分のリズムを作ってしっかり周りに左右されずに走って行こうと思ってスタートラインに立った」と振り返りました。
また、33位という結果については「中盤から後半にかけて足が止まる状況だった。思ったよりも暑い中でのレースだったが、このような状況のなかでいろいろな方々からサポートを受けて貴重な大会となった。気持ちを切り替えてまた練習を積んでいきたい」と前を向こうとしていました。

鈴木「力が及ばず残念」

19位でフィニッシュした鈴木選手は「前の集団のペースの上げ下げに惑わされずに後半でリズムをしっかり作ろうと思って走っていたが力が及ばず残念です」とレースを振り返りました。
そのうえで、「悔しいが、この5年間の積み重ねを今回の42.195キロでぶつけることができた」と言葉を詰まらせながら話していました。

一山 「鬼メニュー」の成果

一山選手は「鬼メニュー」とみずから呼ぶ厳しいトレーニングが大きな成果として実を結びました。

一山選手は実業団の強豪、ワコールに入って6年目。福士加代子選手などを育てた名将、永山忠幸監督が課す実業団屈指の厳しいトレーニングで急成長してきました。

「東京オリンピックは一山で行く」

そんな永山監督の思いを受け止めて日々の練習に打ち込んできた一山選手は去年3月、日本歴代4位のタイムをマークして最後の代表切符をつかみました。

代表内定後も「鬼メニュー」は進化し続けました。質、量ともに経験ないものが多くありましたが永山監督はその狙いについて「強くなりたいのであれば今までやったことがない練習の内容に挑戦するしかない」とぶれることがありませんでした。

一山選手自身はレース直前の取材の中で大会前の「鬼メニュー」について「ギリギリでできたものもあればできなかったものもあった」と振り返りました。

できたのは「70%くらい」だったといいますが、監督から伝えられたのは「できなくてもいいからチャレンジしよう」ということば。

高い強度の練習に常に挑戦し続けてきた結果、ことし5月、本番と同じコースで行われたテスト大会のハーフマラソンで優勝して弾みをつけ、今大会でも力を発揮して結果を残しました。

多くの場所で「密」状態

女子マラソンが行われた札幌市内では、沿道に人が密集するのを避けるため、競歩のレースのときより立ち入り禁止エリアを増やすなど、さらなる対策が取られましたが、多くの場所で再び「密」の状態が見られました。

札幌市内では、コース全般で観戦自粛が求められているほか、スタートとフィニッシュ地点がある大通公園周辺に加え、コースの途中にある北海道庁赤れんが庁舎の敷地内、それに、コースに面している創成川公園を立ち入り禁止にするなど、人々の密集を防ぐ対策を講じました。

さらに女子マラソンでは、5日と6日の競歩のレースで多くの人が密集していた公園の北西側にある歩道もスタートのときのみ、新たに立ち入り禁止エリアに加えました。
しかし、競技開始の20分前には、スタート地点からおよそ100メートル西に離れた歩道で、選手たちを一目見ようと多くの人が集まったほか、レースが始まると、コース沿いにあるさっぽろテレビ塔の周辺や北海道大学の構内などで人々が集まる場面が見られました。

また、7日のスタートのときのみ立ち入り禁止とした公園の北西側にある歩道では、立ち入り禁止が解除されると、通行する人が立ち止まってたちまち人だかりとなり、金メダルを獲得したケニアのジェプチルチル選手がフィニッシュしたときには人と人の距離がかなり近くなる「密」の状態となっていました。

運営スタッフが、こうした人たちに強い口調で観戦自粛や移動を呼びかけていましたが、集まった人たちは選手に声援を送ったり、スマートフォンで動画や写真を撮影したりしていました。

このなかには北海道外から来た人もいて、東京都から観戦に訪れたという40代の男性は、「ロンドンにも応援に行ったくらいマラソンのファンなので、目の前で見られてよかった。人は来ていたが距離は取れていたと思うので大丈夫だ」と話していました。

【レース詳細】

<スタート>
午前6時、レースがスタートしました。レース前の気象条件は気温25.7度。湿度80%です。(※女子マラソンは暑さ対策で当初の予定から1時間前倒しされ、午前6時にスタートしました)

<1キロ>
1キロ地点。前田穂南選手が先頭で集団を引っ張り3分39秒とゆっくりとしたペースで通過しました。鈴木亜由子選手と一山麻緒選手も集団の中を走ります。

<2キロ手前>
2キロを前に日本の前田穂南選手が飛び出し集団の前に出ました。
<4キロすぎ>
4キロすぎ、前に飛び出していた前田穂南選手に後続の集団が追いつきました。鈴木亜由子選手と一山麻緒選手も集団の中でレースを進めています。

<5キロ>
5キロ地点。ケニアのルース・チェプンゲティッチ選手が引っ張る先頭集団は18分2秒で通過しました。ゆっくりとしたペースです。日本の前田穂南選手、鈴木亜由子選手、一山麻緒選手は集団のなかにいます。

<10キロ>
10キロ時点。ケニア勢の3人などが引っ張る集団の先頭は36分16秒で通過しました。40人余りで作られた大きな集団の中には一山麻緒選手と前田穂南選手が入っています。鈴木亜由子選手は、そこから数秒差で走っています。

<気象条件 6:30>
気象台によりますと、午前6時半現在で札幌市の気温は26.7度。レース前よりすでに1度上昇しています。湿度は75%となっています。

<13キロ付近>
13キロ付近。給水所をすぎたあと大きな集団がばらけました。前にできた20人近い集団には一山麻緒選手と前田穂南選手が入っています。鈴木亜由子選手は集団から少し遅れて走っています。

<15キロ>
15キロ地点。前田穂南選手と一山麻緒選手が入る先頭集団は53分47秒で通過しました。この5キロでペースが少し上がっています。鈴木亜由子選手は先頭からおよそ5秒遅れて集団を追っています。

<19キロ手前>
19キロ手前。細かいクランクが続く北海道大学の構内に入りました。先頭集団には依然として前田穂南選手と一山麻緒選手が入っています。鈴木亜由子選手も集団に近づいてきています。

<20キロ手前>
20キロ手前、北海道大学の構内のカーブが続くところで前田穂南選手と鈴木亜由子選手が先頭集団から遅れはじめました。20キロ地点を先頭集団は1時間11分27秒で通過し、一山麻緒選手はその中にいます。前田選手と鈴木選手はおよそ9秒遅れで続いています。
<気象条件7:00>
気象台によりますと、札幌市の気温は午前7時現在で27.5度。レース前より1.8度上昇しています。湿度は70%です。

<中間点>
中間点、先頭の集団は1時間15分14秒で通過しました。アフリカ勢などで作る11人の先頭集団には一山麻緒選手が入っています。鈴木亜由子選手が21秒、前田穂南選手が24秒遅れて通過しました。

<25キロ>
25キロ地点。先頭集団は12人で、1時間28分51秒で通過しました。一山麻緒選手はその中にいます。鈴木亜由子選手は先頭から45秒遅れ、前田穂南選手は1分遅れました。
<27キロ>
27キロすぎ。先頭集団は10人となり一山麻緒選手も入っています。このほかの選手はケニアが3人、アメリカが1人、イスラエルが1人、エチオピアが1人、ドイツが1人、ナミビアが1人、バーレーンが1人です。鈴木亜由子選手と前田穂南選手は大きく遅れました。

<気象条件7:30>
気象台によりますと、札幌市の気温は午前7時半現在で28.3度。レース前から2.6度上昇しました。湿度は69%です。

<30キロ手前>
30キロ手前でおととしの世界選手権の金メダリスト、ケニアのルース・チェプンゲティッチ選手が遅れ始めました。先頭集団は9人で、30キロ地点を1時間46分4秒で通過しました。一山麻緒選手はその中にいます。25キロから30キロの5キロは17分13秒とペースが上がってきています。鈴木亜由子選手と前田穂南選手は大きく遅れました。

<30キロすぎ>
30キロすぎ。先頭集団は8人に絞られ、このなかに一山麻緒選手が入っています。鈴木亜由子選手と前田穂南選手は大きく遅れて走っています。

<33キロ付近>
33キロ付近。8人いた先頭集団がばらけて一山麻緒選手が遅れ始めました。鈴木亜由子選手と前田穂南選手は大きく遅れました。
<35キロ>
35キロ地点。5人の先頭集団が2時間2分58秒で通過しました。集団はケニアが2人、アメリカが1人、イスラエルが1人、バーレーンが1人となっています。一山麻緒選手は27秒遅れて8位で通過しました。

<38キロ手前>
残り5キロを切って先頭は世界記録保持者のブリジット・コスゲイ選手、ペレス・ジェプチルチル選手のケニアの2人となりました。アメリカのモリー・サイデル選手などが追います。一山麻緒選手は9位を走っています。

<気象条件8:00>
気象台によりますと、札幌市の気温は午前8時現在で28.7度。レース前より3度上昇しています。湿度は67%です。

<40キロ>
40キロ地点。ケニアのペレス・ジェプチルチル選手とブリジット・コスゲイ選手が先頭を争っていて、2時間19分59秒で通過しました。3位はアメリカのモリー・サイデル選手です。

<40キロすぎ>
40キロすぎ。一山麻緒選手は入賞圏内の8位で走っています。

<フィニッシュ>
ケニアのペレス・ジェプチルチル選手が速報タイムで2時間27分20秒でフィニッシュし金メダルを獲得しました。銀メダルは世界記録保持者でケニアのブリジット・コスゲイ選手、銅メダルはアメリカのモリー・サイデル選手でした。
一山麻緒選手は速報タイムで2時間30分13秒で、フィニッシュしました。日本選手のトップで8位入賞です。女子マラソンで日本選手が入賞したのは2004年のアテネ大会以来4大会ぶりです。
鈴木亜由子選手は速報タイムで2時間33分14秒の19位でフィニッシュしました。
前田穂南選手は速報タイムで2時間35分28秒の33位でフィニッシュしました。

【札幌のコース】

マラソンは札幌市中心部の札幌大通公園を発着するコースで行われます。
札幌市のコースは、終盤に上り坂があった東京のコースと違って平たんで、1周目は20キロの大きいループ、2周目と3周目は10キロの小さいループとなる変則的な周回コースです。
中でも3回通ることになる北海道大学の構内は、細かいクランクが続き前の選手の姿が見えにくくなることから後半のスパートなど勝負の仕掛けどころと見られています。