コロナ 新規感染者数 全都道府県増加 全国では前週の2倍近く

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、東京都では緊急事態宣言が出されて3週間以上たっても、感染拡大のペースが上がり続けています。すべての都道府県で増加し、全国でも前の週の2倍近くとなっていて、感染拡大のペースが上がり続けています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について、前の週と比較してまとめました。

全国

全国では、
先月8日までの1週間では前の週と比べて1.16倍、
先月15日は1.41倍、
先月22日は1.56倍、
先月29日は1.69倍、
5日まででは1.83倍と、
6週連続で感染拡大のペースが上がり続けています。

1日当たりの新規感染者数は、およそ1万1864人となっていて、47都道府県すべてで感染が拡大しています。

緊急事態宣言の地域

東京都は6月下旬から新規感染者数が増加し、先月12日には緊急事態宣言が出されましたが、その後も、
先月22日までの1週間では前の週の1.56倍、
先月29日は1.62倍、
5日まででは1.64倍と、
7週連続で感染拡大のペースが上がり続けています。
1日当たりの新規感染者数はおよそ3647人と、先週よりおよそ1423人増え、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数も183.38人と、これまで国内のどの地域でも経験したことのない規模の感染となっています。

5月23日から緊急事態宣言が出されている沖縄県では、先月中旬から再び増加に転じ、
先月22日までの1週間では前の週の1.92倍、
先月29日は2.19倍、
5日まででは1.93倍と、
4週連続で感染の急拡大が続いています。
1日当たりの新規感染者数はおよそ445人で、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は214.32人と、全国で最も高く、東京都とともに、これまで国内のどの地域でも経験したことのない規模の感染となっています。

新たに緊急事態宣言の地域

今月2日から緊急事態宣言が出されている首都圏の3県と大阪府でも感染の急速な拡大が続いています。

神奈川県は6月下旬から増加し、
先月22日までの1週間では前の週の1.43倍、
先月29日は1.52倍、
5日まででは2.02倍と、
感染拡大のペースが上がり続けていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ1510人となっています。

埼玉県は6月下旬から増加し、
先月22日までの1週間では前の週の1.74倍、
先月29日は1.73倍、
5日まででは1.77倍と、
急増が続いていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ1005人となっています。

千葉県は6月下旬から増加し、
先月22日までの1週間では前の週の1.40倍、
先月29日は1.61倍、
5日まででは1.90倍と、
感染拡大のペースが上がり続けていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ809人となっています。

大阪府は先月初めから増加し、
先月22日までの1週間では前の週の1.58倍、
先月29日は1.67倍、
5日まででも1.67倍と、
急速な感染拡大が続いています。
1日当たりの新規感染者数はおよそ950人となっています。

重点措置の地域

まん延防止等重点措置が適用されている地域でも感染の急拡大が続けています。

北海道は、
先月22日までの1週間では前の週の1.65倍、
先月29日は1.48倍、
5日まででは1.81倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ277人となっています。

石川県は、
先月22日までの1週間では前の週の2.26倍、
先月29日は1.89倍、
5日まででは1.19倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ88人となっています。

京都府は、
先月22日までの1週間では前の週の1.80倍、
先月29日は1.88倍、
5日まででは2.06倍で、
1日当たりの新規感染者数は199人となっています。

兵庫県は、
先月22日までの1週間では前の週の1.89倍、
先月29日は1.59倍、
5日まででは2.11倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ342人となっています。

福岡県は、
先月22日までの1週間では前の週の1.49倍、
先月29日は2.62倍、
5日まででは2.36倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ536人となっています。

新たに重点措置の地域

今月8日から新たに重点措置が適用される地域でも、感染が急速に拡大しています。

福島県は、
先月22日までの1週間では前の週の0.90倍、
先月29日は3.42倍、
5日まででは1.84倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ91人となっています。

茨城県は、
先月22日までの1週間では前の週の1.56倍、
先月29日は1.82倍、
5日まででは2.05倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ206人となっています。

栃木県は、
先月22日までの1週間では前の週の1.71倍、
先月29日は2.54倍、
5日まででは1.70倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ126人となっています。

群馬県は、
先月22日までの1週間では前の週の2.19倍、
先月29日は3.24倍、
5日まででは2.68倍で、
1日当たりの新規感染者数は128人となっています。

静岡県は、
先月22日までの1週間では前の週の1.19倍、
先月29日は2.00倍、
5日まででは1.76倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ143人となっています。

愛知県は、
先月22日までの1週間では前の週の1.37倍、
先月29日は1.62倍、
5日まででは1.88倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ270人となっています。

滋賀県は、
先月22日までの1週間では前の週の1.32倍、
先月29日は2.13倍、
5日まででは2.66倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ66人となっています。

熊本県は、
先月22日までの1週間では前の週の3.86倍、
先月29日は4.83倍、
5日まででは2.40倍で、
1日当たりの新規感染者数はおよそ89人となっています。

専門家「『デルタ株』への置き換わりか」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は、現在の状況について「東京などでは今までと次元が違うような経験したことのない感染拡大がみられている。これまでは地域で感染が拡大する時期に時間的なずれがあったが、先月終わりからは全国で同調するような形で急激に感染者数が増加している。要因のひとつとして『デルタ株』への置き換わりが考えられ、ピークはまだみえていない。特に東京では入院患者が増え、自宅で療養している人が1万7000人、入院調整中の人が1万人を超えるなど、医療に対する負荷がどんどん高まっている。今までの医療を続けることが困難になって、来週、再来週には亡くなる人が増えることも起こりえる」と話しています。

また、今後の対策について舘田教授は「オリンピックでは、選手や関係者のバブルで大きなクラスターはみられないが、ふだん会っていない人たちと会う機会を増やしてしまったリスクについて考えないといけない。夏休みやオリンピックなど、いろいろな行事が重なって人流が抑えられない状況が続いている。最初の緊急事態宣言のときのように、飲食の場だけでなく、百貨店などの商業施設に休業要請をして、街に出る人の数を全体的に抑えていく対策も考えないといけないのではないか」と話しています。