オリンピック IOCバッハ会長「新型コロナ対策は効果的だった」

東京オリンピックが8日に閉幕するのを前に、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長が会見し、大会期間中に行った新型コロナの検査での陽性率が0.02%だったことをあげ、大会の感染対策は効果的だったと評価しました。

新型コロナの影響で史上初めて大会が1年延期された東京オリンピックは8日に閉幕します。

これを前に、IOCのバッハ会長が6日、大会を総括する会見を開きました。

バッハ会長は冒頭、「無観客という日本の判断を受け入れ、もしかしたら魂のない大会になるのではないかと不安だったが、幸いなことにそうはならなかった。すばらしいパフォーマンスで大会に魂を吹き込んでくれた選手の皆さんに感謝したい。そして、大会を受け入れ支援していただいた東京の人たち、日本の人たち、政府、都、組織委員会の人たちにお礼を申し上げたい」と、世界的に感染拡大が続く中で大会が開催できたことに感謝のことばを述べました。

そのうえで、今大会の最大の課題となった感染対策について、大会関係者の入国時の検査での陽性率は0.08%、大会期間中の検査では0.02%と低い陽性率だったことを示し、「大会参加者の安全を確保することがわれわれの使命であり、コロナ対策は効果的だった」と述べて、ワクチン接種やPCR検査を積極的に行った大会の感染対策を評価しました。

一方で、無観客開催で日本側がさらなる経費負担を強いられるなど開催都市や開催国の負担が大きすぎるのではないかという質問に対しては「無観客は日本側の判断を尊重した。選手村は住宅として活用され、大会会場は何世代にもわたり国民や都民に恩恵もたらす。大会を中止すればこうした投資が全く展望のないものになっただろう」と述べ、理解を求めました。

そのうえで、「過去と比較すれば今大会は全く異なる大会となった。しかし、パンデミックの中では違う必要があった。状況に適応し学ばなければならないことを教えてくれたのは進化だったと思う。この大会はいつか歴史的な大会だったととらえられるだろう」と大会の意義を語りました。

亡命したベラルーシの陸上選手「安全で非常に喜ばしい」

また、東京オリンピックに出場したあとポーランドに亡命したベラルーシの陸上選手についてバッハ会長は会見で「彼女がポーランドに到着し、安全であることや夫や子どもたちに会えたことを聞き、非常に喜ばしく思う。ポーランドのオリンピック委員会が今後、彼女の陸上選手としての支援を行っていくことも喜ばしい」と述べました。

そのうえで「IOCは政治的な国のシステムを変える立場にない。ただ、アスリートをできる限り保護し、選手やオリンピックの価値を侵害するものについては大会からの排除という制裁を加えることができる」と述べて、今後もアスリートの権利を守る活動に万全を期す考えを強調しました。