オリンピック サッカー男子3位決定戦 日本 メダル獲得ならず

東京オリンピック、サッカー男子の日本代表はさいたま市の埼玉スタジアムで行われた3位決定戦でメキシコと対戦し、1対3で敗れて53年ぶりのメダル獲得はなりませんでした。

東京オリンピック、サッカー男子の日本代表は今月3日に行われた準決勝でスペインに敗れ、6日、さいたま市の埼玉スタジアムで行われた3位決定戦でメキシコと対戦しました。

日本は予選リーグでのメキシコ戦では先制点を奪うなど、試合の主導権を握って2対1で勝ちましたが、この試合では前半、遠藤航選手の反則で与えたペナルティーキックを13分に決められて先制される苦しい展開になりました。

そして22分にさらに1点を失うと、後半13分にもコーナーキックを頭で合わされて失点し、一時は0対3と引き離されました。

その後、途中出場の三笘薫選手が後半33分に得意のドリブル突破から正確なシュートで1点を返し、その後も三笘選手を中心にゴールに迫りましたが、追加点にはつながりませんでした。

日本は1対3で敗れ、1968年のメキシコ大会での銅メダル以来となる53年ぶりのメダル獲得はなりませんでした。

キャプテンが立て直し臨んだ3位決定戦

メキシコとの3位決定戦に敗れた日本。

この試合に向けてはミーティングを開いてチームの結束力を強めていました。日本は今月3日のスペインとの準決勝で延長戦の末、0対1で敗れました。試合のあと、ほとんどの選手がぼう然としてしばらく動くことができませんでした。

「目標は金メダル」と言い続けてきた選手たちにとってショックはあまりに大きいものでした。

スペイン戦は警告の累積で出場できずスタンドから試合を見つめた冨安健洋選手は「試合後はみんな話せるような状態ではなかった。それほど金メダルに向けて強い気持ちを持っていたのですぐに切り替えると言っても簡単なことではない」と話しました。
それでも、中2日でやってくる3位決定戦に向けて、チームを奮い立たせたのはキャプテンの吉田麻也選手でした。

スペイン戦から一夜明けた4日、選手の気持ちの切り替えが十分できていないと感じた吉田選手はメンバーを集めてミーティングを開き、ある映像を見せました。吉田選手と酒井宏樹選手が出場した2012年のロンドン大会の3位決定戦で韓国に敗れたときの映像です。

「僕も宏樹もあの思いはもうしたくないし、若い選手にそういう思いをしてほしくない」という思いを伝えたかったといいます。あと一歩のところでメダルに届かなかった先輩たちの表情を目の当たりにした若い選手には、吉田選手の意図はしっかりと伝わっていました。

前田大然選手は「オリンピックはメダルを取るのと取らないのとで大きく違う。下を向かずに、上を向いてやろうと言う気持ちになった」と話すと、谷晃生選手は「映像を見て絶対に悔しい思いをして終わりたくないという僕自身の思いと麻也さん、宏樹さんにもまたその経験をさせたくないという思いになった。勝って絶対に3位で終わりたい」と決意を新たにした様子でした。

吉田選手は「ロンドンのときといちばん違うのは当時を経験した選手がいること。自分たちがほかの選手たちの気持ちや雰囲気を変えることができると信じている」と力を込めました。

中2日の6試合目で迎える体力の限界と目指し続けてきた目標に届かなかった喪失感。この難局をチーム全員で乗り越えた先に、53年ぶりの銅メダルが見えてくると考えていました。

「疲労もとっくにピークを超えていると思うけどここからは本当に勝ちたい、メダルを取りたい気持ちが強いほうが勝つ。自分たちの精神的な強さが試される一戦になると思う。国を背負って戦う誇りと責任を持って最後、全部出し切りたい」と話していました。

53年ぶりの銅メダル獲得はなりませんでしたが、年齢制限のない代表でもキャプテンを務める吉田選手の存在感は絶大でした。

キャプテン吉田「完敗です」

吉田選手は6日の試合を「完敗です」とかみしめるように振り返りました。
そのうえで東京大会について「若い選手に何か伝えたいと思っていたが彼らからいろいろ吸収して選手として成長させてもらった。9月のワールドカップ予選でも今回のメンバーに1人でも多く会えることを楽しみにしているし自分もしっかりと準備をしたい」と話しました。

久保「結果的に気の緩みがあったかもしれない」

久保選手は「予選で勝ってた相手だったので、結果的に気の緩みがあったかもしれない」と涙を流しながら振り返りました。
そのうえで「きょうの負けは重いです。楽しかったけれど結果的に手ぶらで帰ることになって、いままでのサッカー人生でこんなに悔しいことはない」と声をふるわせて話しました。

堂安「大会通じて責任を感じている」

堂安律選手は「どこかでチャンスがくると思いながらチャンスをうかがっていた。ベスト8に入ってから2試合ノーゴールで、きょうも1点しかとれず、大会通じて責任を感じている。代表として戦った以上負けていい試合なんてないが、これから先、前を向いてやっていきたい」と話していました。

森保監督「選手やスタッフの努力はメダルに値する価値」

森保一監督は試合後の会見で「サポーターや国民に喜んでもらえる結果を出せなくて残念に思う。今大会でメダルをかけて戦うところまで選手たちに連れてきてもらったことを監督として感謝したい。選手やスタッフの努力はメダルに値する価値があると私自身は思っている」と選手たちをたたえました。
また、長崎市出身でJ1のサンフレッチェ広島に選手や監督として所属した経験がある森保監督は広島に原爆が投下された時刻と同じ6日午前8時15分に黙とうをささげたことを明かし「今もなお心に傷を負って生活している方々のことを少しでも思い、そういう方々の暮らしが少しでも穏やかに、心の傷が和らぐといいと願った」と話しました。
さらにどのような心境で指揮を取ったかを問われると「オリンピックというスポーツの祭典で、ルールの中で相手のことを尊重して競い合うということ、スポーツの世界から競い合うということが憎しみ合うということではないという部分がいろいろな人に伝えられたらうれしい」と答えました。
そのうえで「コロナ禍で開催が危ぶまれる中、多くの人がいろいろな犠牲を払って、オリンピックを開いてくれたと思う。尽力してくれたすべての人に感謝を申し上げたい。このオリンピックのすべての経験は、選手たちの肉となり血となり、今後の成長につながると思っている」と話しました。

【試合詳細】日本1-3メキシコ

前半

▽午後6時
メキシコのキックオフで試合が始まりました。

▽前半8分
遠藤選手がペナルティーエリアの外からシュートを打ちましたが、枠の外でした。

▽前半13分
遠藤選手がペナルティーエリア内でファウルを取られ、前半13分にペナルティーキックでメキシコに先制されました。

▽前半18分
ペナルティーエリア内で林選手のパスを受けた遠藤選手がゴールに迫りましたが、相手ゴールキーパーに阻まれました。このプレーで相手ゴールキーパーと接触があり、遠藤選手にイエローカードが出されました。

▽前半22分
メキシコはフリーキックをバスケス選手が頭で合わせて追加点を奪いました。日本は0対2でリードされました。

▽前半25分
久保選手のパスを受けた相馬選手がペナルティーエリアに入りシュートを打ちましたが、枠の外でした。

▽前半27分
酒井選手が倒され、メキシコの選手にイエローカードが出ました。このプレーで、日本はフリーキックを獲得し、久保選手がゴールに向かっていくボールを蹴りましたが、得点にはつながりませんでした。

▽前半30分
林選手がシュートを打ちましたが、キーパーに止められました。

▽前半42分
ドリブルでしかけた相馬選手が倒され、メキシコの選手にイエローカードが出ました。

▽前半終了
前半が終了して0対2。日本は13分にペナルティーキックから1点を失うと、22分にはフリーキックを頭で合わされ2点目を失いました。ボール支配率は日本が50%、メキシコが50%です。

後半

▽午後7時すぎ
日本は相馬選手に代わって旗手怜央選手が入りました。メキシコは選手の交代はありません。

▽後半7分
遠藤選手のクロスボールに堂安選手が頭で合わせましたが、枠の外に外れました。

▽後半9分
メキシコに攻め込まれ、ペナルティーエリア内でシュートを打たれましたが、ゴールキーパーの谷選手が防ぎました。

▽後半11分
メキシコはライネス選手に代わってアントゥナ選手が入りました。

▽後半13分
メキシコにコーナーキックを頭で合わされ3点目を奪われました。日本は0対3でリードされました。

▽後半17分
メキシコのマルティン選手にシュートを打たれましたが、枠の外でした。

▽後半17分
日本は中山雄太選手に代わって三笘薫選手が、林大地選手に代わって上田綺世選手が入りました。

▽後半23分
ドリブルで突破した三笘選手からパスを受けた上田選手がシュートを打ちましたが、キーパーに阻まれました。

▽後半26分
日本は田中選手に代わって板倉選手が入りました。

▽後半33分
三笘選手がドリブル突破からゴールを奪いました。スコアは1対3で日本が2点をリードされました。

▽後半33分
メキシコはアレクシス・ベガ選手に代わってロベルト・アルバルド選手が、セバスティアン・コルドバ選手に代わってフェルナンド・ベルトラン選手が入りました。

▽後半35分
上田選手にイエローカードが出されました。

▽後半39分
遠藤選手に代わって三好康児選手が入りました。

▽後半41分
メキシコはカルロス・ロドリゲス選手に代わってホアキン・エスキベル選手が、ヘンリー・マルティン選手に代わってアギーレ・エドゥアルド選手が入りました。

▽試合終了間際
三笘選手がドリブル突破からシュートを打ちましたが、ゴール左脇にそれました。

▽試合終了
3位決定戦で、日本はメキシコに1対3で敗れました。

日本の先発メンバー

【GK】谷晃生
【DF】酒井宏樹/中山雄太/吉田麻也(キャプテン)/冨安健洋
【MF】遠藤航/久保建英/堂安律/相馬勇紀/田中碧
【FW】林大地

メキシコの先発メンバー

【GK】ギジェルモ・オチョア(キャプテン)
【DF】ホルヘ・サンチェス/セサル・モンテス/ヘスス・アングロ/ジョハン・バスケス
【MF】ルイス・ロモ/カルロス・ロドリゲス/セバスティアン・コルドバ
【FW】ヘンリー・マルティン/ディエゴ・ライネス/アレクシス・ベガ