オリンピック レスリング女子 川井梨紗子 2大会連続の金メダル

東京オリンピック、レスリング女子57キロ級、川井梨紗子選手が2大会連続となる金メダルを獲得しました。
今大会では、妹の友香子選手が62キロ級で金メダルを獲得していて、夏のオリンピックの同じ大会で日本で初めてとなる、姉妹での金メダル獲得となりました。

川井選手は、4日に行われた1回戦と2回戦、それに準決勝を勝ち上がり、5日の決勝では、おととしの世界選手権3位でベラルーシのイリーナ・クラチキナ選手と対戦しました。

試合は川井選手が前半に鋭いタックルから2ポイントを奪って先制しました。

後半も川井選手は積極的に攻めてポイントを重ね、5対0で勝って、金メダルを獲得しました。

川井選手は前回のリオデジャネイロ大会の63キロ級で金メダルを獲得していて、2大会連続の金メダルとなりました。

また、今大会では、妹の友香子選手が62キロ級で金メダルを獲得していて、夏のオリンピックの同じ大会で日本で初めてとなる、姉妹での金メダル獲得となりました。

レスリング女子57キロ級は、銀メダルをベラルーシのイリーナ・クラチキナ選手、銅メダルをアメリカのヘレンルイーズ・マルーリス選手とブルガリアのエベリナゲオルギエワ・ニコロワ選手が獲得しました。

「プレッシャーないといえば嘘だが それも力になると信じた」

川井梨紗子選手は「最後の1秒まで絶対に相手から目をそらさないと決めて戦った。プレッシャーもなかったといえば嘘になるが、それが力になると信じた」と決勝を振り返りました。

妹の友香子選手と姉妹での金メダル獲得になったことについては、「これほどいい日があっていいのかと思う。このために、長い間いろいろな思いを抱えて頑張ってきた。本当にいい日だ」と笑顔で話していました。

妹に向けて 金メダルを掲げる

川井梨紗子選手は表彰式で金メダルを受け取ると、メダルを見つめてから自分で首にかけました。

そのあと、観客席にいる妹の友香子選手に向けて涙を浮かべながらメダルを掲げました。

表彰式のあと、川井梨紗子選手は「妹と2人で優勝を目指してやってきた。けんかをすることも何回もあったが、妹が笑って終わろうと言っていた。きのう優勝した妹にちゃんと喜んでもらうためには、私が勝たないといけないと思っていた。楽な道のりではなかったが、報われるだけの努力をして、きょうを迎えることができたと思う」と話していました。

重圧から逃げない 変えたのは「憧れの先輩」伊調との代表争い

前回大会をはるかに超える重圧と警戒の中でオリンピックに臨んだ日本のエース、川井梨紗子選手。
苦しい時間を乗り越えてきたことによる成長を2大会連続の金メダルという最高の結果で示しました。

金メダルを獲得した前回のリオデジャネイロ大会、川井選手はチームでも最年少の21歳。
吉田沙保里と伊調馨という2人のレジェンドに注目が集まる中、初出場の川井選手は「何も知らないがゆえの勢いがあった」とのびのびと試合を楽しんでいました。

あれから5年、川井選手は世界大会4連続優勝という圧倒的な実績を残し、チームのキャプテンを任されています。
「立場が変わり、楽しみという気持ちは明らかに減っている。不安ではなく、やるしかないという覚悟」。
“最強・日本女子”のエースという重圧から逃げず、受け止める強さは5年前にはないものでした。

川井選手を大きく変えたのは伊調選手との代表争いです。
本来の57キロ級に川井選手が戻したことで、憧れの先輩とたった1つの代表枠を争わなくてはならなくなりました。
3年前、代表争いの途中で伊調選手に敗れたあと初めて「レスリングを辞めたい」と考えるまでに追い込まれました。
伊調選手の「オリンピック5連覇」を期待する声が世間にあふれる中で試合をすることは、想像を絶するプレッシャーだったといいます。
それでも周囲の支えを受けてもう一度、自分を奮い立たせ、マットに戻った川井選手は半年後、伊調選手に紙一重の差で連勝し、代表の座をつかみ取りました。
この苦しい経験があったからこそ、どれだけの重圧を背負っても逃げるわけにいかないと感じていました。

「馨さんだけじゃなく、ライバルに勝って自分が舞台に立っているからこそ負けてはいけない」。
エースとしての重責に加えて海外勢からのマークは、前回よりはるかに厳しくなっています。
さらにコロナ禍のオリンピックについて開催への厳しい声も届きました。
それでも川井選手は「私がやらなければいけないことをやるだけ」とぶれることなく、自分を高め続けました。

今大会、最も注目が集まったのは準決勝。
前回のオリンピック、53キロ級で吉田沙保里さんを破って金メダルを獲得したアメリカのヘレン ルイーズ・マルーリス選手との対戦でした。
「彼女と戦わずしてチャンピオンとは言えない。彼女の気持ちを感じたが私も負けないくらいにやってきた」と一歩も引くことなく圧力をかけ続け、接戦をものにしました。

決勝で川井選手は、ベラルーシの選手に勝って2大会連続で金メダルを獲得。
前回大会をはるかに超える重圧と警戒の中でも頂点の座を譲りませんでした。