バイデン政権 2030年に排気ガスゼロ車 新車の50%に 目標発表

アメリカのバイデン政権が、電気自動車など排気ガスを出さない車の新車販売に占める割合を、2030年に50%に引き上げる目標を発表しました。世界第2位の自動車市場も環境対策の強化に乗り出すことになり、各メーカーは戦略の見直しを迫られることになりそうです。

バイデン政権は5日、自動車分野の気候変動対策の目標値を発表し、電気自動車や燃料電池車など走行中に排気ガスを出さない「ゼロエミッション車」について新車全体に占める割合を2030年に50%に引き上げるとしています。

EU・ヨーロッパ連合が7月、2035年に事実上、禁止すると発表したハイブリッド車を含むガソリン車は販売を認めるものの、目標の達成に向け、電気自動車の充電設備の拡大や、燃費規制の強化に取り組んでいくとしています。

中国に次ぐ世界第2位の自動車市場アメリカが環境対策の強化に乗り出すことで日本メーカーを含む各社は戦略の見直しを迫られるとみられます。

このうちGM=ゼネラル・モーターズやフォードなどは、政府に賛同する共同声明を発表し、2030年までに年間販売台数の40%から50%をゼロエミッション車に切り替える目標を示しました。

ただ、アメリカの去年の新車全体に占める電気自動車の割合は、2%程度にとどまっています。

国土の広いアメリカでは、充電や価格に課題がある電気自動車は不向きだという指摘や、エンジンや石油などの産業の雇用減少を懸念する声もあり、目標の達成に向けては曲折も予想されます。

世界で相次ぐ環境車目標

気候変動対策への関心が高まる中、世界では電気自動車などを普及させるための目標が相次いで打ち出されています。

▼EU・ヨーロッパ連合は7月、2035年以降の新車販売を、排ガスを出さない「ゼロエミッション車」にし、日本のメーカーが得意とするハイブリッド車を含むガソリン車や、ディーゼル車の販売を事実上、禁止する方針を発表しました。

▼イギリスは2030年までにガソリン車やディーゼル車の新車販売を禁止し、2035年にハイブリッド車も禁止するとしています。

▼日本は2035年までに乗用車の新車販売をすべてハイブリッド車や電気自動車、それに燃料電池車などのいわゆる電動車にする目標を掲げています。

▼世界最大の自動車市場の中国でも専門家の団体が2035年をめどにすべての新車をハイブリッド車や電気自動車にするという工程表をまとめています。

ただ、各国の目標に対しては、消費者の利便性や、エンジンや石油といった産業や雇用への影響など、さまざまな面から反対の声も出ていて、今後は、各国政府の計画の実現に向けた具体的な進め方も焦点になります。

日本メーカーへの影響は

日本の自動車メーカーにとってアメリカは主要な市場で、バイデン政権の新たな目標を受けて戦略を見直す動きも出てきそうです。

バイデン政権が目標に示した走行中に排気ガスを出さない「ゼロエミッション車」には、▽EV=電気自動車や▽外部から充電できるプラグインハイブリッド車、▽水素で発電して走るFCV=燃料電池車などが含まれるとみられます。

トヨタ自動車は、アメリカでの車の販売が全体のおよそ4分の1を占めていますが、2030年には、販売する新車の70%を主力のハイブリッド車のほか、プラグインハイブリッド車、EV=電気自動車、燃料電池車にする計画です。

これらをどのような構成にしていくかが課題となりそうです。

また、アメリカでの販売が全体の3割を占めているホンダは、バイデン政権の目標について「目標を支持し、電気自動車に対する消費者の需要を喚起していきたい」というコメントを出しました。

ホンダは北米で販売する新車のうちEVと燃料電池車の割合を2030年には40%、2040年は100%にする計画ですが、2030年時点の対応が課題となりそうです。

このほか、アメリカで車を販売している日産自動車やSUBARU、マツダなどもハイブリッド車を含めた電動車やEVの投入目標を設けていますが、バイデン政権の新たな目標を受けて、開発や投資の戦略を見直す動きも出てきそうです。