ワクチン3回目接種の動き WHO“9月末までは行わないで”

中東やヨーロッパの各国が、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種を始める方針を相次いで示す中、WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、途上国などでの接種を進めるため、9月末までは追加の接種を行わないよう呼びかけました。

感染力が強い変異ウイルス「デルタ株」の感染が世界的に広がる中、中東のイスラエルでは8月1日から60歳以上の人への3回目の接種が始まったほか、イギリスやドイツも高齢者などを対象に、9月から開始する方針を示すなど、追加の接種を進める動きは各国で広がっています。

これについて、WHOのテドロス事務局長は4日の記者会見で「『デルタ株』から自国民を守るための各国政府の懸念は理解するが、世界で最もぜい弱な人たちが守られないまま、これまでに世界で供給されたワクチンのほとんどを使った国々が、さらに多くを使うことは受け入れられない」と述べました。

そのうえで「すべての国で少なくとも人口の10%が接種を終えるようにするため、来月末までは追加の接種を一時的に停止するよう求める」と述べ、途上国などでの接種を進めるため、9月末までは追加の接種を行わないよう呼びかけました。

WHOは、世界でこれまでに接種されたワクチンの80%余りは、世界の人口の半数に満たない高所得国などで接種され、途上国との格差が広がっていると懸念を示しています。