“ブレイクスルー感染”でSNSに誤った情報 感染研が批判の声明

ワクチン接種後に新型コロナウイルスの感染が確認されたとする、国立感染症研究所の報告の一部を切り取って「感染研がワクチンに効果がないと認めた」などとする誤った情報が、SNSなどで広がっています。国立感染症研究所は、一部の文言を切り出して議論をゆがめているとして、強く批判する異例の声明を出しました。

国立感染症研究所は先月、ワクチン接種の2週間以上あとに感染が確認された「ブレイクスルー感染」と呼ばれるケースが、ことし6月末までの3か月間に67人で確認されたことを報告しました。

こうした感染は海外でもまれに報告されていて、報告では、ワクチンの有効性の高さを否定するものではないとしながら「接種後も感染対策を続けることが重要だ」としています。

しかし、報告の一部を切り取る形で「感染研がワクチンに効果がないことを認めた」などとする誤った情報がSNSなどで広がっていて、研究所は強く批判する声明を出しました。

声明では「自らの主張に都合のいいように一部の文言だけを切り出して使用することは、研究所が誤った内容を発信している印象を与えるだけでなく、科学を踏まえた健全な社会の議論をゆがめてしまうことを強く懸念している」と強く批判しています。

国立感染症研究所がこうした声明を出すのは異例で、脇田隆字所長は「発症や重症化の予防効果は明らかだが、接種が増えれば、接種後に感染するケースも出てくる。ただ、その後ろに感染を免れている多くの人がいることを理解してもらう必要がある。科学的に伝えられるコミュニケーションをしていきたい」と話しています。