ワクチン接種 東京23区のうち14区 50代の1回目 5割に達せず

新型コロナウイルスのワクチン接種について、NHKが東京23区に年代別の進捗(しんちょく)状況を取材したところ、50代で1回目の接種を終えた人が5割に達していない区が回答した18の区のおよそ8割にのぼりました。自治体からは、「国はワクチン供給の見通しを早く示してほしい」といった声があがっています。

新型コロナのワクチン接種をめぐっては、高齢者への接種が進む一方で、医療現場で「重症化しやすい」と指摘されている40代から50代の接種をどう進めるかが課題となっています。

こうした中、NHKが東京23区に取材したところ、3日までに18の区が年代別の接種の最新の進捗状況を回答しました。

このうち50代については、1回目の接種を終えた人が5割を超えた区は4つで、墨田区が65%、台東区が56%、千代田区が54%、江東区が53%でした。

一方、78%にあたる残りの14の区は「5割に達していない」と回答しました。

また2回目の接種を終えた人は、墨田区が31%、千代田区が23%、板橋区が22%、豊島区が21%だった一方、世田谷区や渋谷区など、10の区は1割に達していませんでした。
さらに40代では、1回目の接種を終えた人が5割を超えているのは墨田区の58%だけでした。

また2回目の接種を終えた人が3割を超えた区はなく、回答した区の72%にあたる13の区が1割に達していませんでした。

また、20代で2回目の接種を終えた人が1割を超えた区はありませんでした。
このほか、新宿区、中野区、杉並区、大田区は、「接種状況を細かい年代別に集計していない」と回答し、葛飾区は「現時点では公表していない」と回答しました。

また、政府が「今月下旬にはすべての国民の6割を超える人が1回目の接種を終え、4割を超える人が2回目の接種を終えることを目指す」としていることについても聞いたところ、文京区や墨田区など6つの区が「達成を見通せている」と回答した一方、74%にあたるそれ以外の17の区は「達成を見通せていない」と回答しました。

「達成を見通せていない」理由については、国からのワクチンの供給量が減らされたから、とか、職域接種などの実施状況を区で把握することが困難なため、といった回答がありました。

このほか、ワクチンの供給遅れを受けて接種計画を変更したかどうか聞いたところ、全体の91%にあたる21の区が「変更した」と回答し、集団接種会場の数や予約できる枠を減らしたり、個別接種に協力する医療機関へのワクチンの供給数を減らしたりする対応を取ったということです。

接種を進める上での課題や国への要望については、国はワクチンの供給量とスケジュールを早く示してほしいという声が多かったほか、若年層に接種を検討してもらえるよう、正しい情報発信をしてほしいといった要望も聞かれました。

江東区 今月中の1回目接種終了は半数程度 供給量が足りず

政府が、今月下旬にすべての国民の6割を超える人が新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を終えることなどを目指すなか、東京・江東区では、区に届くワクチンの量が減少しているため、今月中に1回目の接種を終えることができるのは半数程度にとどまる見込みです。

江東区によりますと、先月19日以降の国からのワクチンの供給量は要求した量の5割から6割ほどにとどまっているということです。

政府は「今月下旬にはすべての国民の6割を超える人が1回目の接種を終えることを目指す」としていますが、江東区では6割を達成できる見通しは立っておらず、半数程度にとどまる見込みです。

区はワクチンの供給量の減少を受けて、集団接種会場での予約の受け付けを縮小していて、30代以下の予約が取りにくい状況が続いているほか、2回目の接種の予約を取れない人も5000人ほどいるということです。

また、ワクチンの供給が減っていることから、区内で最も大きい集団接種会場での接種を今月中旬に取りやめる方針で、今月末には集団接種の予約枠は計画の6分の1になるということです。

江東区の根本将司ワクチン接種管理担当課長は、「ワクチンが足りないために予約を受け付けられない状況で区民に申し訳ないと思っています。国には早急に自治体が希望する量を供給するとともに、その見通しを周知してほしい」と話していました。

20代と30代の接種状況は

【20代】
▽1回目の接種を終えた人が2割を超えたのは4つの区で、港区が29%、台東区が28%、墨田区が26%、千代田区が21%だった一方、半数に当たる9つの区では1割に達していませんでした。

▽2回目の接種は、回答した18の区すべてで1割に達していませんでした。

【30代】
▽1回目の接種を終えた人が3割を超えたのは3つの区で、港区が36%、墨田区と台東区が33%だった一方、78%に当たる14の区は2割に達しておらず、世田谷区、目黒区、足立区は1割に達していませんでした。

▽2回目の接種が1割を超えたのは2つの区で、墨田区が13%、千代田区が12%でしたが、89%にあたるそれ以外の16の区では1割に達していませんでした。

新宿区は、20代と30代を合わせて回答していて、1回目の接種を終えた人は19%、2回目の接種を終えた人は5%としています。

4日、都が発表した新たな感染者の4166人のうち、20代と30代は2265人で54%を占めていて、若い世代の人へのワクチン接種を進めることが課題になっています。