1都3県知事 旅行や帰省の原則中止やワクチン接種を呼びかけ

首都圏で感染の急拡大が続くなか、1都3県は共同メッセージをまとめ、旅行、帰省の原則中止や積極的なワクチン接種への協力を呼びかけました。

東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の知事は3日夜、オンラインで会議を開き、新型コロナウイルス対策を協議しました。

この中で1都3県で確認された新規陽性者は、先月31日までの1週間に合わせて3万6484人に上り2週前の3倍近くに増加したことが示されました。

そして変異ウイルスの影響でこれまでにない急激なスピードで感染が広がっているとして、対策の徹底を呼びかける共同メッセージをまとめました。

この中ではすべての都民・県民に対し旅行や帰省は原則中止か延期することや、都と県の境を越える移動は極力控えること、それに積極的なワクチン接種を呼びかけています。

また20代と30代に対しては感染者のおよそ半数を占め、会食を通じた感染が多く見られるとして、いわゆる路上飲みや大人数での飲食などはやめるよう呼びかけています。

さらに40代と50代に対しては重症化リスクが高く入院する人が特に増えているとして、対策を徹底するとともに少しでも症状があればすぐに相談するよう求めています。

小池知事「現行措置法の課題浮き彫り 法改正議論すべき時期に」

東京都の小池知事は会議の中で新型コロナウイルス対策の特別措置法について「コロナとのたたかいにおいて緊急事態宣言を何度も経験してきたが、都民・国民の行動をどのようにして理解してもらいながら制限していくのかはいつも『お願いベース』になっている」と述べました。

そのうえで「現状がいろいろ動いているなかで現行の特措法の課題も改めて浮き彫りになっていると痛切に感じている。法改正など必要性も含めて議論すべき時期にきていると感じている」と述べました。

こうした発言について会議のあと小池知事は記者団に対し「皆さんからは『お願いばかりだ』という話でこれだけ長引くとなかなか効果が得られない状況も続いている」と述べました。

また記者団が「一部で『ロックダウン』=都市封鎖の導入の議論が出ているがどう考えているか」と質問したのに対し、小池知事は「前から言われていることでそうなるとおおもとのところにたどりつく。幅広く課題はあり、本質の話をすべきだということはかねてから申し上げている」と述べました。

黒岩知事「8月末まで最後の我慢を」

神奈川県の黒岩知事は「いま感染が広がっているデルタ株はこれまでのものとは根本的に違い感染力が非常に強い。甘く見ないでもらいたい」と述べました。

また「外出自粛や人流の抑制にご協力をいただけないと感染者がさらに増加する。いざというときに救急医療が受けられず、皆さんの命を助けることができなくなりかねない。県民の皆さんには、8月末まで最後の我慢をお願いしたい」と話していました。

熊谷知事「県民一人一人が感染防止対策を」

千葉県の熊谷知事は県内で直近1週間の新規感染者の1日あたりの平均が700人余りとなり、前の週のおよそ2倍のペースで増えていることを説明したうえで「いちばん注視しているのは酸素投与が必要な症状の重い中等症患者の状況で日に日に増加している。またいよいよ重症者も増えてくる局面に入った。病床確保の計画も最大のレベルに変更し、救急患者の入院の受け入れを制限しなければならない」と危機感を示しました。

そのうえで「1都3県以外の地域に医療提供体制のダメージを与えないためにも、都県をまたぐ旅行や帰省は原則中止、または延期してほしい。ワクチンの接種率が着実に前進しているので、確実にステージが変わっていくことを目に見える形で発信していきたい」と述べて県民に協力を求めるために、今後の見通しについて十分な説明が必要だという考えを示しました。

会議のあと、熊谷知事は記者団の取材に対し「さらに病床がひっ迫し、コロナを含めて最善の医療を受けられない患者が出てくることが想定されるので県民一人一人が感染防止対策をして、そうした患者をつくらないことが重要だ。自身の行動が誰かの命に直結していることを受け止めていただいて予定の見直しを行い、行動にも細心の注意を払ってほしい」と呼びかけました。

大野知事「医療機関の人のやりくりがついてきてない」

埼玉県の大野知事は「直近1週間の新規陽性者が初めて6000人を超えるなど極めて深刻な状況だ。さらに感染者の増加のペースがあまりに速いため、医療機関の人のやりくりがついてきておらず、無理やりやろうとすると、コロナ以外の医療が崩壊する可能性が出てきている。医療を危機に直面させないためには中年層を重症化させないことが急務だ。首都圏全体で警戒レベルを高めていきたい」と述べていました。