埼玉県 症状悪化で自宅療養からの搬送相次ぐ 病床が満床状態に

新型コロナウイルスの感染の急拡大で、埼玉県では、確保している病床の使用率が2日時点で「ステージ4」相当とひっ迫しています。
中には、自宅で療養している人たちが症状が悪化して運び込まれるなどして、病床が満床状態になり、新たな入院の要請を断らざるをえない病院も出てきています。

埼玉県戸田市の公平病院は、ことし3月にプレハブの仮設病棟を建て、通常病棟と合わせて34床を新型コロナの患者向けに確保しています。

しかし、感染の急拡大で入院患者が増え始め、3日時点で満床の状態になっています。

搬送されてくるのは、自宅や宿泊施設で療養をしていた40代や50代の患者が多く、療養中に高熱が出て血液中の酸素の数値が悪化してから運び込まれてくるため、症状が悪化した状態で治療を始めざるをえない状況になっているということです。

容体が悪化した自宅療養者は、これまでは原則、受け入れてきましたが、満床の状態が続いていて、新たな受け入れは断らざるをえないということです。

この病院では、今週中に一般の患者用の病床をあと10床、コロナ患者向けに転用する方針ですが、一般の診療に影響が出かねないと懸念しています。

病院長「できるかぎりのことはやりたいが限界も」

公平誠病院長は「7月の4連休のころから搬送されてくる人が増え、先週、一気に急増した。自宅療養、宿泊療養の患者の搬送、熱が続いて酸素の数値が悪化してから入院されてくるケースが多く、コンディションが悪い中で治療を開始する現状になっている」と話しています。

また、これまでの第3波や第4波との違いとして「40代、50代の患者が非常に多く、ほとんどの方が酸素を吸入しないといけないような中等症のカテゴリーの患者になっている。第5波はこれまでより肺炎の状態が悪く、重症化と隣り合わせの状況で、中等症でもすぐに治るような状態ではないということを理解してほしい」と話しています。

そのうえで「地域住民のための発熱外来を行い、救急の受け入れやコロナ患者の入院対応、そしてワクチン接種も担っていて、多忙を極めている。さらにコロナ患者向けに病床を増やそうと考えていて、その分、一般病床を減らすことになり、一般診療に影響が出てしまうかもしれないが、今はコロナ患者の急増に対処しないといけない。病院としてできるかぎりのことはやっていきたいが、限界も見え始めている」と話しています。