コロナ 症状悪化の妊婦転院困難に 親から感染の子ども入院も増

出産を控えたり子育てをしたりしている若い世代を中心に、新型コロナウイルスの感染が急拡大しているため、東京都内の病院では、感染し症状が悪化した妊婦の転院先が見つかりにくくなっているうえ、親から感染した子どもの入院も急増しています。

東京 世田谷区にある国立成育医療研究センターでは、感染の第5波の前までは新型コロナに感染して入院する妊婦は1人いるかどうかでしたが、7月以降増加し、現在は4人が入院しています。

この病院では、妊婦は新型コロナに感染すると重症化するリスクがあるため、軽症や無症状でも入院を受け入れてきました。

しかし、このところの患者の急増で受け入れが限界に近づいていて、妊婦に自宅での療養をお願いせざるをえなくなる可能性があるとしています。

さらに、入院中の妊婦が肺炎を起こした場合には、さらに高度な成人の治療ができる病院に転院してもらう必要がありますが、先月、妊娠中期の妊婦に肺炎の症状が出た際には、出産や新生児への対応ができないといった理由で19の病院から受け入れを断られたということです。

また、子育てをしている世代に感染が広がる中で、感染して入院する子どもも増えていて、7月は、29日までの時点で0歳から16歳までの49人が入院し、0歳から12歳までの20人だった前の月に比べ、2.5倍近くに急増しています。

親から感染したとみられる生後半年未満の赤ちゃんも4人いて、発熱やおう吐の症状が見られるケースもあるということです。

両親が感染して別の病院に入院しているケースもあり、看護師は感染を避けるため、赤ちゃんをだっこせずに寝かせたままミルクを与えるなどして面倒をみています。

国立成育医療研究センターの賀藤均病院長は「妊婦の場合は、急な分べんや早産にも対応する必要があり、受けられる施設が限られるが、コロナの感染拡大で受け入れられない病院が増えてきている。若い人は軽症だから増えても大丈夫という考えは大きな問題で、一人ひとりが危機感を持ってほしい」と話していました。