抗体カクテル療法 自宅療養者への使用優先を国に要望 千葉県

2つの薬を同時に使うことから「抗体カクテル療法」と呼ばれる新たに承認された新型コロナウイルスの治療薬について、千葉県は当面、対象を入院患者に限るとしている国に対し、自宅などで療養している患者への使用を優先するよう要望しました。

先月新たに承認された新型コロナウイルスの治療薬、「カシリビマブ」と「イムデビマブ」は、同時に点滴投与することで2種類の抗体が作用してウイルスの働きを抑える「抗体カクテル療法」という治療法で使われます。

供給量が限られていることから国は、軽症から中等症の患者のうち、高齢者や、基礎疾患などの重症化リスクがある人で当面、入院患者に限って使用することにしていますが、千葉県は、感染の急拡大によってリスクのある人も含め、軽症患者などは自宅やホテルで療養しているとして、こうした患者に投与できるよう外来患者への使用を優先すべきだとする要望書を厚生労働省に提出しました。

県は自宅などで療養している患者が外来診療を受けた際にこの治療薬を投与し、患者が入院するのを防ぎたいとしています。

また、千葉県のように感染者が多い地域に重点的に配分することも求めていて、「特に40代から50代を重症化させないことが喫緊の課題で、治療が円滑に行えるようにしてほしい」としています。

熊谷知事「軽症患者入院できない状況」

「抗体カクテル療法」に関する国への要望について熊谷知事は記者団に対して「千葉県を含む1都3県では軽症患者が入院できない状況になり、ホテル療養や自宅療養中でも本来、この治療薬を投与されるべき人も含まれている。千葉県のような感染が爆発している地域に重点的にこの薬を配布し、外来でも投与できる環境を一日も早く実現させてほしい」と述べました。

1日時点で千葉県内では療養中の感染者4805人の68%にのぼる3273人が自宅療養中になっていて熊谷知事は「感染爆発を想定して血液中の酸素の状態をみるパルスオキシメーターを大量配備し、往診のスキームも作っている。自宅療養者へのしっかりとしたモニタリングと医療へのアクセスは保障されるようにしていきたい」と述べました。