急激な感染拡大で専用病床が満床 古い病棟再開しベッド確保も

新型コロナウイルスの中等症や重症の患者を受け入れている都内の病院のなかには、専用病床が満床状態となり、古い病棟を再開して軽症の患者を移すことでベッドを確保しようというところも出てきています。

東京 三鷹市の杏林大学医学部付属病院では、新型コロナウイルスの専用病床をおよそ30床確保し、中等症や重症の患者を受け入れていますが、先週からほぼ満床の状態が続いています。

専用病床を少しでも空けるため、症状が軽くなった患者を移す先として、2日から古い病棟を再開しました。

この病棟は、年末年始の第3波のときにも使用し、その後、感染状況が落ち着いたため閉鎖していたということですが、今回の急激な感染拡大で再び使うことになりました。

2日の段階で使用を予定しているのは4部屋で、いずれも個室になっています。
家庭内感染が増えていることから、親子で入院が必要になるケースに備えてベッドをふたつ設置した病室もあります。

また、医療現場で新たな課題となっているのが、医療従事者の家族が感染することによる自宅待機の増加です。

ワクチンの優先接種で医療従事者自身の感染や発症は少なくなりましたが、まだ接種できていない若い世代の同居家族が感染し、医療従事者が濃厚接触者とされるケースが相次いでいるということです。

この病院では、先週からの1週間で医師や看護師など、およそ10人を自宅待機にしていて、人繰りが厳しくなってきているということです。
杏林大学医学部付属病院感染症科の倉井大輔教授は「感染者が増加することで、緊急ではない手術の延期の調整も始まっており、通常診療を大幅に制限せざるをえなくなるおそれがある。これまでと比べて、医療従事者と一般の人との間で危機感のズレが大きいように感じる。医療崩壊もありうる段階まできていて、病院はぎりぎりの状態だ。なんとかここで踏みとどまることができるよう、改めて多くの人に行動を見直してほしい」と呼びかけています。