オリンピック 陸上男子100m 新たな時代の幕開けか

海外メディアは「東京オリンピックで最大の驚きだ」などと伝えました。
1日に行われた陸上男子100メートル決勝。大会3連覇の“絶対王者”ジャマイカのウサイン・ボルトさんが引退して以降、最初のオリンピックで、混戦のレースを制したのはイタリアのラモント マルセル・ジェイコブス選手でした。

オリンピックの花形種目、陸上男子100メートル。大会前は日本記録と変わらない9秒95が自己ベストだった26歳のジェイコブス選手が準決勝、決勝で次々と記録を伸ばし、9秒80でイタリア勢として初めてこの種目を制しました。
一方、日本から出場した3人は全員が予選で姿を消し、世界の現在地を見せつけられるレースとなりました。

今大会、決勝に進んだ8人はアメリカが2人、イギリス、カナダ、南アフリカ、イタリア、中国、ナイジェリアがそれぞれ1人ずつでした。
ジャマイカ勢が全員準決勝までに敗退し、8人中6人が初めての決勝という顔ぶれは、新たな時代の幕開けを感じさせるものでした。
その1人、中国の蘇炳添選手は準決勝でみずからの持つアジア記録を一気に100分の8秒更新する9秒83をマーク。同じ組のジェイコブス選手も9秒84をマークしてこの時点で自己ベストを0秒11も更新し、ヨーロッパ記録を塗り替えていました。

その一方で、今シーズン世界最高タイムの9秒77をマークしていたアメリカのトレイボン・ブロメル選手は10秒00でまさかの準決勝敗退となり、決勝は誰が勝つか分からない混戦となりました。
そうした中、準決勝から2時間半後の決勝で勢いを見せたのは、またもジェイコブス選手でした。横一線だった中盤から力強く抜け出すと競り合いを制してフィニッシュし、自己ベストをさらに更新する9秒80で金メダルを勝ち取ったのです。

初々しい新王者は、レース後2時間以上かけて各国メディアの取材に対応し「東京オリンピックでは決勝進出が目標だった。この結果は夢みたいで、理解するのに4年はかかると思う」と笑顔を見せました。
大会前まで世界的にはほとんど無名だったジェイコブス選手の優勝を海外メディアは「東京オリンピックで最大の驚きだ」などと伝え、100分の4秒差で銀メダルだったアメリカのフレッド・カーリー選手は「彼のことは全く知らなかった。ノーマークだった」と明かしました。
一方、今大会最強のメンバーとして100メートルに出場した日本にとっては多田修平選手、山縣亮太選手、小池祐貴選手の3人がいずれも予選敗退に終わり、「世界の現在地」を見せつけられる結果となりました。

決勝に進んだ各国の選手たちは日本が金メダル獲得を目指す男子400メートルリレーでも強力なライバルとなってきます。

これまで日本は金メダルの最大の壁として打倒アメリカを掲げて準備を進めてきました。各国の選手のレベルが予想を超える進歩を遂げ、個々の走力の差を見せつけられた日本は、100メートルに出場した3人を含めた8人の候補の中からどの選手を、どの走順で起用してくるのか。

日本が世界トップと評価されてきたバトンパスの技術では各国も着実にレベルを上げていて、リレーでは日本の戦略が試されることになります。
男子400メートルリレーは今月5日に予選が今月6日に決勝が行われます。