オリンピック 走り高跳び 戸邉直人 決勝までの2日間に何が

東京オリンピック陸上男子走り高跳びの戸邉直人選手は日本選手として49年ぶりに決勝に進みましたが13位に沈みました。予選から決勝までの2日間のあいだに何があったのでしょうか。

自己ベストに遠く及ばない結果

2日前の予選で2メートル28センチを軽々と跳んだ戸邉選手。決勝の記録は2メートル24センチにとどまりました。
異変を感じたのは、決勝が行われるおよそ20分前のことでした。
戸邉選手は左のかかとからふくらはぎにかけて何枚も重ねてはっていた茶色いテープをはがしていました。

予選のあとに足に違和感があると明かしたものの「問題は感じていない」と話していた戸邉選手。しかし、このときの競技場での様子は不安を抱えているように見えました。その不安は1回目の跳躍から現実のものとなりました。
ふだんなら問題なく跳べるはずの2メートル19センチを失敗。
2回目でクリアしたときも体がバーに触れていました。
続く2メートル24センチは1回で成功したものの、これが最後の成功となりました。
自己ベストの2メートル35センチには遠く及ばず、決勝に進んだ13人のなかで最下位に終わりました。

痛みを抱えて

試合後戸邉選手に話を聞くと意外なことばが返ってきました。

「自分のなかである程度うまく調整ができていて、体の状態もいいと思っていたが踏切でうまく跳ねることができなかった。課題となるのは試合までの調整だと思う」

左足の痛みについては触れず、一切の言い訳をしなかったのです。日本記録保持者としてのプライドを感じました。それでも足の状態について突っ込んで聞くと明かしてくれました。

「先週ぐらいからちょっと気になるなと思っていて、おとといの予選でそれが痛みに変わった」
戸邉選手は代表に決まったあと助走の改良に取り組み、足を痛める前は「助走の1歩目で浮かないように修正したらかなりまとまってよくなってきた」と手応えを話してくれていました。
しかし、肝心な本番でその手応えを発揮するだけのコンディションが整いませんでした。

パリに向けて

試合後「足の件も含めて試合に向けての調整が今後の課題。本当に悔しいのでこの借りをオリンピックで返せるように3年後のパリに向けて精進してきたい」と話しました。
戸邉選手は自己ベストの記録であれば今大会でも4位に入れたほどの実力の持ち主です。初めてのオリンピックはほろ苦いものになりましたが、大学院で博士号を取得するほどの高跳びに対する知見とその世界レベルの身体能力で立て直しをはかりリベンジのパリへ向かいます。